研究実績の概要 |
本研究の目的は,臨床用高磁場MRIを用いた「細胞密度イメージング」および「肝機能イメージング」を臨床応用し, 分子標的薬における反応性の早期評価および手術支援肝機能画像の開発を行うことである。本年度は細胞密度イメージングによる分子標的薬における反応性の早期評価を実施した。 【具体的内容】細胞密度イメージングは磁化移動効果を利用したEquivalent cross-relaxation rate imaging(ECRI)を用いた。対象は初回治療として血管新生阻害薬であるベバシズマブ治療を施行した7例の大腸癌肝転移症例である。治療開始前と開始2週間後にECRIを実施し, 腫瘍のサイズおよびECR値を計測した。治療効果判定はRECIST ver.1.1に基づき8週間後のCTにより実施し, 分子標的薬における反応性の早期評価を行った。RECIST ver.1.1による治療効果判定は8週間後のCT 検査時に腫瘍サイズが30%以上縮小したresponders group 4例, 30%未満のnon-responders group 3例であった。治療開始前と開始2週間後の腫瘍サイズは全ての症例で変化は見られなかった。治療開始前における腫瘍のECR値はresponders groupで有意に高値を示した(p=0.01)。また, responders groupにおける治療開始2週間後のECR値は有意に低下した(p=0.04)。 【意義】ECRIは分子標的薬における腫瘍細胞の壊死を早期に検出し, 分子標的薬における反応性の早期評価に有用な手法である。 【重要性】本研究は分子標的薬における反応性の早期評価に細胞密度イメージングが新たな手法となりうることを明らかにした。
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