研究実績の概要 |
虚血再還流ラットにおけるmatricellular蛋白の代表であるTenascin-Cの発現をI-125標識抗tenascin-C抗体(I-125-TNC)を用い検討した。その結果、虚血部の集積は3日でピークに達しその後漸減した。虚血直後にpostconditioning(PC)を行うことでTenascin-Cの発現(I-125-TNC)の集積)は全経過を通して有意に低下した。虚血再還流2月後の心臓超音波検査では、PCにて拡張収縮末期径は縮小し、%fractional shorteningは改善した。以上よりPCによる心筋梗塞後の急性から亜急性期の組織治癒過程におけるTenascin-Cの間質での発現の抑制が2か月後の左室リモデリングの抑制に関連していることが考えられた。心筋梗塞後の血管新生の画像化の検討を行った。RGDは血管新生時の内皮細胞の遊走を制御するαvβ3 integrinに特異的に結合するとされているがαvβ3はマクロファージにも発現するとの報告がある。そこでI-125-RGDの心筋梗塞後の集積の意義を検討した。その結果、7, 14日,1月後では強い集積を認め、2月でやや低下した。集積はαSMAで染まる微小血管様構造に空間的時間的にほぼ一致し、マクロファージの出現とは一致をみなかったことより、I-125-RGDの集積は梗塞1週後から1-2ヵ月にわたって血管新生を反映していると考えられた。虚血再還流モデルにおけるTc-99m-annexin V投与によるSPECT/CTでのin-vivo imagingの検討を行った。その結果再還流3日、1週後で集積を確認できた。集積したラットでは左心拡大が優位であり、梗塞後の持続するアポトーシスが左室リモデリングに関連することが示唆された。
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