研究課題/領域番号 |
26461848
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鷲山 幸信 金沢大学, 保健学系, 助教 (80313675)
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研究分担者 |
横山 明彦 金沢大学, 物質化学系, 教授 (80230655)
西中 一朗 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員(定常) (70354884)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | α放射体 / ジェネレータ / アスタチン-211 / アイソトープ治療 / 放射線 / がん / 薬学 / ラドン-211 |
研究実績の概要 |
これまでに我々は炭化水素(ドデカン)を利用した溶媒抽出法を用いることで、211Rn製造時に核反応で発生する副生成物やターゲット物質そのものから、効果的に211Rnを分離抽出できることを見いだしている。またドデカン中に捕集した211Rnから生成する211AtをMeOH系で逆抽出を行った後に、溶媒を水酸化ナトリウム溶液系に置換しTe金属粉末と接触させることで211Atの回収率を保持しつつ、211Rnからの副生成物である207Poを除去できる系を確立した。 本研究では、ドデカンを含む4種類の炭化水素を用いて211Rnを回収し、2つの異なる温度条件下において211Rnの溶媒中への保持を検討した。用いた炭化水素溶媒は質量数の小さいものから順に、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカンである。20℃の条件下に置いたこれらの炭化水素に211Rnを捕集した後、溶媒の温度を20℃または0℃に固定した状態で211Rnの溶媒中への保持を調べた。その結果、20℃条件下ではすべての溶媒中の211Rnは時間の経過と共に減少し、2時間後にはいずれの溶媒でも50%未満となった。また保持率は質量数の大きい溶媒ほど高い傾向を示し溶媒の密度との関係が示唆された。 0℃に維持した溶媒では、デカンとドデカンで保持率の減少が顕著に示された。しかし、融点が0℃よりも高いテトラデカンとヘキサデカンではどちらの溶媒も固体状態になりそのなかで5211Rnは50~90%の間で一定の保持率を示した。211Rnを捕集してから1時間後にはテトラデカンとヘキサデカンの両方で一時的な211Rnの保持率の減少が認められたが、それ以後は時間に依存せず、どの実験系においてもRnの減少は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本原子力研究開発機構のタンデム加速器が故障しているため、当初予定していた実験をすべて実施することができなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、211Rn捕集後初期の溶媒中への保持を高める検討をすすめているが、ジェネレータ中に存在する空気相が保持率の維持に影響を及ぼしていると考えられるため、今後は空気相の無い条件での評価を続ける。 平成28年度に予定していた一部の実験は、加速器の故障のために、実施できなかった。そのため今年度で終了の予定を延長し、加速器が故障から復帰した後、直ちに、行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題で使用するアイソトープ211Rnは日本原子力研究開発機構のタンデム加速器を用いて製造するが、このタンデム加速器が故障したため予定していた実験を行うことができなかった。次年度使用額が生じたのは、本来予定していた実験に用いる物品および金沢大学から日本原子力研究開発機構に行くための旅費として計上されていたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、タンデム加速器が修理され再び実験に使用することができるようになれば、もともと実験のために計上されていたものであるので、全額を使って実験を行う予定である。
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