研究課題/領域番号 |
26461849
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
大田 信一 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30583637)
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研究分担者 |
新田 哲久 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40324587)
園田 明永 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00571051)
渡邉 尚武 滋賀医科大学, 医学部, その他 (60570364)
友澤 裕樹 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90585689)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 副腎静脈梗塞 / エタノール / 原発性アルドステロン症 |
研究実績の概要 |
本研究は、経カテーテル的に副腎静脈を塞栓することにより、静脈梗塞を起こすことを明らかにし、副腎機能低下を起こすことができるかを検討することである。前年度の実験より、塞栓物質として、エタノールが、使用しやすく、値段も安いため、今研究の主要塞栓物質とした。本年度は、副腎静脈塞栓による刑事的な組織変化と副腎ホルモンの推移を検討することに加え、造影MRIを撮像して、画像変化を併せて検討した。 対象はミニブタ6頭。左副腎静脈からバルーン閉塞下に無水エタノール3mlを投与し5分間待機した。犠牲死は塞栓後1日(n=1)、3日(n=1)、7日(n=2)、14日(n=2)に行った。評価項目は(1)造影MRI:塞栓前(n=6)、塞栓後1日(n=1)、3日(n=5)、7日(n=4)、14日(n=2)、(2)犠牲死直前の左副腎静脈造影、(3)塞栓前と犠牲死直前の副腎静脈採血(アルドステロン、コルチゾール)、(4)組織学的評価である。 結果は、(1)造影MRI:塞栓後1日では副腎実質の造影欠損を認めた。3日では副腎実質の出血と、被膜およびと中心部静脈の造影効果を認めた。7日では副腎実質の造影効果を認めた。14日では副腎は縮小し、T2強調像で低信号を示し、均一に造影された。(2)左副腎静脈造影:塞栓後1日では1例で実質の造影効果が消失し静脈のみ残存しており、7日以降では4例でバルーン留置部より遠位で消失していた。(3)副腎静脈採血:塞栓前と比べて2例でアルドステロン、コルチゾールの低下、3例で上昇を認めた。(4)組織学的評価:塞栓後1日では出血、鬱血を認め、3日では凝固壊死、7日では線維化が出現し、14日には線維化と残存した細胞を認めた。 以上より、バルーン閉塞下副腎静脈塞栓術により、副腎は凝固壊死を経て線維化を伴い萎縮し、結果として副腎皮質および髄質の細胞の大半は壊死した。バルーン閉塞下副腎静脈塞栓術は副腎梗塞を生じさせる一つの方法と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度に予定していた副腎静脈塞栓による組織変化、ホルモン変化に加えて、予定していなかったMRI画像による経時変化を検討することができたため、より詳細な治療効果や周囲組織まで含めた変化を見ることができた。予定以上の結果を得ることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた実験は完了したため、今後は、データのまとめや発表、論文作成に当たる。また追加実験が必要となった場合には、ブタを再度購入し、追加の実験とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブタの実験に、多数の学生に研究協力してもらう予定であったが、ブタの麻酔や実験などに研究者が精通していき、あまり研究協力の必要性がなくなったため、謝金を支払うことがなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
病理評価のための抗体の購入などの物品費、国内外の学会参加のための旅費に使用する予定である。また追加実験が必要となった場合には、ブタや薬品、カテーテルの購入費とする予定である。
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