研究課題/領域番号 |
26461852
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石田 隆史 広島大学, 大学病院, 非常勤医師 (40346482)
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研究分担者 |
石田 万里 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (30359898)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線 / 動脈硬化 / ゲノム障害 |
研究実績の概要 |
原爆の被ばく者において心血管疾患の発症リスクが被ばく線量に比例して増加することや、乳ガンや頭頸部ガンに対する放射線治療後に同様に心血管疾患の発症リスクが増加することから、近年放射線の心血管に与える影響が問題になりつつある。本研究の目的は、放射線が動脈硬化を加速させるメカニズムをDNA障害の視点から明らかにすることである。 ApoEノックアウトマウスの心臓~胸部大動脈~頸部にかけて14Gを照射したところ高脂肪食の投与の有無にかかわらず、動脈硬化の程度に明らかな影響は見られなかったが、心臓や血管周囲に線維化や脂肪沈着が認められた。現在、各モデルのサンプル数を増やしてさらに検討している。 DNA修復に支障のあるKu+/-マウスの大動脈においては、若年期よりDNAの2本鎖切断が増加していた。現在、ApoEとのダブルノックアウトマウスにおける動脈硬化病変を解析している。 心臓CTによる放射線被曝が生体に及ぼす影響を明らかにするため、撮影前後で末梢血を採取し、単核球のDNA2本鎖切断をgamma H2AXにて、FISHを用いた2動原体染色体解析にて染色体異常を定量測定した。DNA2本鎖切断、2動原体染色体いずれも心臓CTにより増加していた。これらの増加分は被曝線量に比例していた。2動原体染色体の前値は、年齢とともに増加するが、CTによる増加の程度は年齢が低い方が大きい傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスの動脈硬化の程度の個体間のばらつきが大きいことが要因であろう。このため動脈硬化の程度の定量評価をして各群間で比較をするにはある程度のマウスのサンプル数が必要と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、各モデルのサンプル数を増やしている。各群最低10匹は必要と考えている。また、動脈硬化巣形成の程度・スピードを調節するため食餌中の脂肪含有量を微妙に調整している。最適なモデルが確定し次第、病理学的、分子生物学的な解析をする予定である。Ku/ApoEダブルノックアウトマウスにおける動脈硬化病変を並行して解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
X線照射装置MBR-1520R-3の設定、および照射範囲を大幅に変更したため、実験がやや後にずれ込んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度に上記分の実験を行う。これに伴うマウスの飼育費、試薬などに用いる。
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