乳ガンや頭頸部ガンに対する放射線治療後に虚血性心疾患や脳卒中などの発症率が増加することが近年問題になっている。本研究は、放射線による動脈硬化病変が増悪するメカニズムをDNA損傷の視点から明らかにすることを目的として行った。オスのApoEノックアウトマウスの胸部大動脈に放射線10Gyを照射した。放射線照射後、標準食で2か月間飼育した後に、大動脈を採取した。放射線照射群の大動脈弁輪部の動脈硬化巣面積は非照射群に比して有意に大であった。免疫組織化学染色による検討などから、放射線による動脈硬化病変が増悪には、DNA損傷の蓄積、DNA損傷応答の活性化、炎症などが関与していることが示唆された。
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