研究課題/領域番号 |
26461855
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸岡 保博 九州大学, 大学病院, その他 (00637928)
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研究分担者 |
山田 明史 九州大学, 大学病院, 研究員 (00565129)
長尾 充展 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60533081)
北村 宜之 九州大学, 大学病院, その他 (70644722)
馬場 眞吾 九州大学, 大学病院, 助教 (80380450)
本田 浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90145433)
磯田 拓郎 九州大学, 大学病院, 助教 (90452747)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心サルコイドーシス / ステロイド治療 / 治療効果 / total lesion glycolysis |
研究実績の概要 |
初年度は、心サルコイドーシスのステロイド治療反応性の予測に適した指標の検討を行った。心サルコイドーシスの活動性評価に関してFDG-PETは有用なモダリティでありFDG集積の指標として従来からSUVmaxが広く用いられているが,悪性腫瘍の予後評価の分野では、FDG集積部位のvolume全体のSUVの積算値を評価する指標としてtotal lesion glycolysis(TLG)が近年注目されている。この指標が心サルコイドーシスにおけるステロイド治療反応性に応用できないか検討を行った。ステロイド治療前にFDG-PETを施行した心サルコイドーシス患者22例を対象にステロイド治療後の治療反応例14例、反応不良例8例に分類し、左室心筋を関心領域としてSUVmaxが4以上の領域を解析ソフトMulti Modality Tumor Tracking を用いて抽出し、TLG値を算出して両群間で比較を行った。治療反応不良例のSUVは、治療反応例のSUVと比較して有意な差は認められなかったのに対し、治療反応不良例のTLG値(1193±795)は、治療反応例のTLG値(496±531)を比較して有意に高値であった (p=0.02)。また、治療反応に対する予測能は、従来のSUVmaxでは感度58%、特異度78%、正診率67%であったのに対し、TLG値を用いることで、感度100%、特異度56%、正診率81%と向上した。心サルコイドーシスにおける左室心筋のTLG値は、ステロイド治療反応性の予測に有用な指標となると考えられ、昨年7月に日本心臓核医学会総会で学会発表し、現在論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FDG-PETを用いた心サルコイドーシスのステロイド治療における治療効果予測法は、初年度の検討で、total lesion glycolysis(TLG)を用いた予測の有用性が実証された。一方、PET/MRIにおける実際の患者でのPET/MRI融合画像の作成が、心臓MRI撮像のためのコイルの調整の遅れや、ガドリニウム造影MRIの撮像を行う環境が整っていない点から、まだ達成されていない。今後は、PET/MRI融合画像を撮像した上で、TLGの有用性を実証したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、心サルコイドーシス患者において、PET/MRI装置でPET画像およびガドリニウム遅延造影像の融合画像の撮像が行えるよう環境を整え、実臨床での症例数を蓄積し、心サルコイドーシスのステロイド治療における治療効果予測法としてのtotal lesion glycolysis(TLG)の有用性をPET/MRI撮像症例にて改めて検証し、報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度にPET/MRI融合画像解析の為のワークステーションを導入予定であったが、PET/MRI装置での融合画像の撮像が軌道に乗っていない事もあり、物品費の支出が予想を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
PET/MRI装置での融合画像撮像を軌道に乗せ、PET/MRI融合画像解析を補助するための物品を購入する計画である。
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