研究課題
心サルコイドーシスのステロイド治療反応性の予測に適した指標の検討を行った。心サルコイドーシスの活動性指標に関してFDG-PETは有用なモダリティでありFDG集積の指標として従来からSUVmaxが広く用いられているが、悪性腫瘍の予後予測の分野ではFDG集積部位のvolume全体のSUVの積算値を評価する指標としてtotal lesion glycolysis (TLG)が注目されている。このため初年度はこの指標が心サルコイドーシスにおけるステロイド治療反応性の予測に応用できないか検討を行った。ステロイド治療前にFDG-PETを施行した22例を対象にステロイド治療後の治療反応良好例14例、反応性不良例8例に分類し、左室心筋を関心領域としてSUVmaxが4以上の領域を解析ソフトMulti Modality Trackingを用いて抽出し、TLGを算出して両群間で比較を行った。治療反応不良例のSUVは治療反応良好例のSUVと比較し有意な差は認められなかったものの、それに対し治療反応不良例のTLG値(1193±795)は治療反応良好例のTLG値(496±531)と比較し有意に高値であった(p=0.02)。また、治療反応に対する予測能は従来のSUVmaxでは感度100%、特異度56%、正診率67%であったのに対し、TLG値を用いることで感度100%、特異度56%、正診率81%と向上した。心サルコイドーシスにおける左室心筋のTLG値は、ステロイド治療反応性の予測に有用な指標となると考えられ、平成26年7月の日本心臓核医学会総会で発表した。また、2年度目以降では、縦隔、肺門リンパ節のFDG集積の指標であるSUVmaxが、心サルコイドーシスの再燃有無に対する有意な独立因子であった事を日本核医学会総会で発表し、現在論文に投稿中である。最終年度はMRIにおける遅延造影像における増強の定量的指標を解析したが、FDG-PETにおけるTLG値を上回る心サルコイドーシスステロイド治療反応性の予測指標を新たに導くことはできなかった。
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