研究課題
最終年度は、前年度までに選択された膵臓癌の術後症例をさらに一部追加すると共に、非手術症例についての検討も行った。2010年より2016年4月までの症例拡大を行ったところ、最終的な対象症例は51例となった、うち、外科切除対象となり、病理学的検討が可能であったのは27例であったが、特殊な組織型、FDG PETと手術の間に化学療法が行われた等の症例を除外し、最終21例が解析された。残る24例は手術不能と評価された。画像解析としては前年度までの解析法であるSUVmax, Tumor to Background Ratio (TBR)に加え、腫瘍容積の要素を加えたパラメーターである、Total Lesion Glycolysis (TLG), Metabolic Tumor Volume(MTV)をパラメーターとして加えた。病理所見として、静脈侵襲, リンパ管侵襲, 膵内神経浸潤との関係を検討したところ、静脈侵襲の程度とSUVmaxの間に関係が見られた一方、TLGとの関係が認められなかった。多くの研究で予後その他の評価にSUVよりも優れているとされるTLGが、本研究対象例ではむしろ評価能力が劣る結果となった。一方で、手術できた症例と手術不能であった症例の間では、TLGが明らかに大きな有意差を認めた。このことは、術前の治療方針決定には腫瘍容積の要素が過大に評価されているが、実際の腫瘍進展度は、容積よりも腫瘍の最大代謝能力がより優れた予測能力を示すことを意味しており、治療方針決定のテーラーメイド化に有用な結果であると考えられた。遺伝子解析については、十分な症例数、サンプル量が得られなかったため、現在のところ有意な結果が得られていない。今後助成期間終了後も、次世代シークエンサーの利用法の改善、症例・サンプル数の増加によって、さらなる検討を進める予定である。
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