心筋血流量や心筋血流予備能の絶対値定量することは、日常臨床において、冠動脈重症多枝病変や慢性腎臓病、糖尿病、貧血、心不全等、様々な病態が要因となり、びまん性の心筋血流低下や心筋血流予備能の低下が生じているはずである。さらに、血流量や予備能低下は冠動脈疾患の心事故や予後予測に大きな影響を及ぼしている。しかし、従来の心筋シンチグラフィは相対的評価での検査であり、それを検出、評価することは困難である。 今回、我々は半導体検検出器が搭載されたSPECT装置を用いて、201Tlを用いて、ダイナミックSPECTを安静時と、薬剤負荷の状態のそれぞれで撮像し、そこから得られたダイナミックデータより、single tisse cmpartment model 解析を行い、安静時、薬剤負荷時の心筋血流量とその比である、心筋血流予備能を算出するソフトウェアを開発した。また、そこから得られた結果が、実際の冠動脈疾患のリスク因子や心不全の指標、冠動脈造影の結果との関連性があるのかを検証した。 結果として、冠動脈病変の重症度や慢性腎疾患、貧血、HDL-Chilesterol、BNP、左室区出率等の指標と今回算出された心筋血流量や予備能との間に相関がえられた。これは過去にPET検査で報告されてきた心筋血流量や予備能のリスク因子であり、同様の結果が得られた。このことより、PET検査なしにSPECT検査でも、今回我々が開発したソフトウェアにより、心筋血流量の定量か可能となることが証明された。今後、心筋血流量の定量がより多くの施設で可能になることが予想される。
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