研究課題
本実験に先立ち、ビーグル犬雄1頭を用いた予備実験を施行した。予備実験において、犬前立腺の経皮的穿刺は極めて困難なことが判明したため、本実験では全身麻酔下に開腹して凍結療法を行うこととし、前立腺内尿道への影響を検討することとした。また、前立腺全体を凍結させるには凍結端子が2本必要であることが判明した。本実験において実験動物はビーグル犬成犬雄6頭(体重10.1~14.0kg、平均12.0kg)を使用。意図した前立腺の凍結範囲により、凍結端子1本を用いた前立腺一部凍結群(Group 1;n=3)、および凍結端子2本を用いた前立腺全体凍結群(Group 2;n=3)の2群に分けた。各群1頭ずつ、凍結療法後7日、14日、28日飼育の後安楽死処置を行い前立腺および周囲組織を採材、凍結療法後の組織学的変化についての検討を企図した。しかし28日飼育群ではいずれの群においても術後28日以内に死亡したため、各群凍結療法後7日および14日飼育群での検討を行った。凍結直後MRIで造影欠損のあった部位を壊死領域として測定したところ、平均の凍結体積はGroup 1で45%、Group 2で100%であった。前立腺の体積変化率は、Group 1において、直後のMRIでは 143%、7日後MRIで 182%、14日後MRIでは82%であった。 一方、Group 2において、直後のMRIでは 220%、7日後MRIでは425%、14日後MRIでは262%であった。いずれの群においても、凍結療法後には前立腺に強い腫脹が生じることが判明した。摘出した病理標本では、凍結領域の前立腺は出血壊死を呈していた。凍結領域が尿道と接していた部分では、尿道上皮の脱落がみられた。しかしMRIでは尿道損傷の有無に関しては評価が困難であった。凍結領域が前立腺内尿道と接している場合には、尿道損傷が生じる可能性が示唆された。
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Interventional Radiology
巻: 2 ページ: 85-88
10.22575/interventionalradiology.2017-0007