研究課題
通常のPET画像は放射性薬剤を体内に注射してから一定時間を経た時点における静的な放射性薬剤の体内分布を画像化しているものである。しかしながら放射性薬剤は血流で運ばれた後に各臓器・組織において生理的過程に於いて代謝され、体内分布は経時的に変化している。そこで放射性薬剤の経時的な分布変化を見る「ダイナミックPET」が従来の静的画像に新たな情報を加える可能性がある。ダイナミックPETによって得られる時間放射能曲線を解析し、様々な腫瘍診断においてダイナミックPETがどのように臨床診断に寄与するかを解明することが本研究の目的である。研究では全身像を経時的に何回もスキャンする必要があるため、新しく開発された連続寝台移動撮像法(以下FMT)が可能なPET装置を使用した。また本装置で得るダイナミック画像の最適化が必要なことから、昨年まではファントム実験によりプロトコールの作成と、得られた画像が従来法と比較して臨床的に劣っていないか(非劣勢)どうかを確認した。その結果、ダイナミック収集法は従来法と比べ合計の収集時間が同じであれば物理的なパラメータはほぼ同等であり、寝台速度に依存しないことが判明した。また1フレームごとの画像の重畳画像では、サイノグラムデータの重ね合わせでも画像データの重ね合わせでも有意差がないことを示した。臨床データの収集に当たり、我々は日常臨床で使用できるものを想定したため、FDG投与量は200-300MBq、合計撮像時間が20分以内を目安とした。撮像パラメータとして全身7フレーム収集(1フレーム3分弱)を設定しFDG投与後60分後から20分間のダイナミック撮像を実施した。その結果、腫瘍の質的診断は困難であったが消化管や尿管等の生理的集積の鑑別に有用であった。ダイナミック収集のさらなる有用性を解析するには、撮像開始時間や収集時間をさらに検討する必要があるものと思われた。
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