研究課題/領域番号 |
26461871
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
村山 千恵子 東海大学, 医学部, 講師 (50307295)
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研究分担者 |
川口 章 東海大学, 医学部, 教授 (30195052)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミトコンドリアコンプレックス / MC-I / 放射線治療 / 癌治療効果予測 / ワールブルグ効果 / 嫌気的解糖系 |
研究実績の概要 |
癌治療効果の非侵襲的機能的評価として、これまで癌細胞に基質として取り込まれる糖やアミノ酸を標識してその取込み量を描出するPET検査が繁用されているが、本研究では癌特有の嫌気的解糖系(ワールブルグ効果)に注目して、抗癌治療により惹起されたミトコンドリア電子伝達系の活性化により副産物のラジカル類で癌細胞がアポトーシスに至る程度をミトコンドリア内の律速酵素群を標識することで評価するPET検査を提案し有用性を検討する。そこで電子伝達系の律速酵素でミトコンドリア機能を最も反映していると考えられているミトコンドリアコンプレックスI(MC-I)を標的として新規に開発されたPETプローブ18F-BCPP-EFを用いてMC-Iが活性化した癌細胞をPETで陽性像として描出することで治療の効果を予見する方法を考案した。 SCCVII腫瘍を移植したマウスの下肢に6、15、30GyのX線単回照射後、経時的に18F-BCPP-EF-PET/CTまたは18F-FDG-PET/CT計測を実施した。18F-BCPP-EF-PET/CTでは、非照射腫瘍は陰性画像のままであるが、照射腫瘍では腫瘍体積減少が確認されない照射2日後から18F-BCPP-EF集積が検出され癌の治療効果が陽性像として描出された。照射3日目以降では線量依存の18F-BCPP-EF集積量の増加を確認できた。一方、18F-FDG-PET/CT 計測では照射2日後には炎症反応を反映して逆に線量依存性の集積量の増加を検出した。腫瘍縮小効果が確認された照射7日目においてもすべての線量で非照射群を下回る集積は見られず、線量依存性の照射効果が確認されたのは2週間後であった。 以上、18F-BCPP-EF-PET/CTを用いて放射線治療効果を早期に陽性像として描出することに成功し、早期治療効果予測における18F-BCPP-EF-PETの有用性を実験的に確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験実施前の綿密な調査、計画立案およびこれまでの経験より、実験結果はほぼ予測通りであり、実験条設定に要する予備段階実験を短期間で終了することができたためと考える
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今後の研究の推進方策 |
本研究開始時に立案した計画通りに実験を進行できているため、今後も計画案に沿って研究を進める予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置(動物用放射線照射装置、動物用PET計測装置など)の使用調整がつかず、計画していた実験が1回実施できなかったため、その分の実験経費が残ってしまったため
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度実施できなかった実験分は平成27年度に追加実施予定であり、「次年度使用額」はその実験経費として使用予定である
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