研究課題/領域番号 |
26461872
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
渡辺 茂樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究員 (10450305)
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研究分担者 |
鷲山 幸信 金沢大学, 保健学系, 助教 (80313675)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | At-211 / 湿式分離 / ホウ素ケージ / ペプチド |
研究実績の概要 |
アスタチン-211(At-211)は、細胞殺傷能力が高いα線を放出する放射性同位元素(RI)である。従って、At-211をがんに効率よく送ることができれば、従来のβ線を用いた内用放射線治療よりも少ない投与量で高い治療効果が得られるだけでなく、β線では効果が認められていない固形がんへの応用も期待できる。本研究では、生体内での安定性が期待できるホウ素ケージ誘導体をAt-211標識部位、がんへの高い選択性と速やかな集積性を有する生理活性ペプチドをAt-211の運搬体とする新規At-211標識薬剤を開発し、α線内用放射線治療用薬剤としての有用性を明らかにする。今年度は、はじめに、高純度At-211の製造を目的としたカラムほうによるBiターゲットからのAt-211の分離を検討した。その結果、ポリエチレングリコール(PEG)を導入した樹脂を用いることで塩酸および硝酸中のAt-211を96-99%で吸着できることを明らかにした。次に塩基性溶液を用いて樹脂からの溶出を試みた結果、15Mアンモニア水を用いることで78%でAt-211を溶出できることを見出した。 At-211標識生理活性ペプチド合成では、固相合成法によりKCCYSL, WTGWCLNPEESTWGHCTGSFの2種類のペプチドを合成し、さらにAt-211標識部位としてp-ビストリブチルスズ安息香酸を導入した生理活性ペプチドを合成した。現在、ホウ素ケージ誘導体の合成と生理活性ペプチドへの導入を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生理活性ペプチド標識前駆体の合成が当初想定していた以上に困難で、昨年度実施予定の新規生理活性ペプチドへのAt-211標識実験を実施できなかった。そのため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度開発した湿式分離法を用いて精製したAt-211を使用して、合成した生理活性ペプチドへの標識実験を実施する。また、標識実験で得られたAt-211標識ペプチドを精製して使用することで、今年度実施予定のin vitroの安定性や細胞実験を同時並行で実施し、研究の進行をさらに早める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度では、生理活性ペプチド標識前駆体の合成が当初想定していた以上に困難で、At-211標識実験を実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
標識実験を平成27年度に実施するため、次年度助成額とあわせて使用する予定である。
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