研究課題
平成26年度においては、ヌードマウスをもちいたPETをF-BPAワンショット投与後4時間まで施行し、各臓器におけるF-BPA濃度の経時変化を求めた。その結果マウスでは膵臓に著明なF-BPA集積が見られ、それはヒトでの集積パターンと相違することがわかった。また、膠芽腫および悪性黒色腫のXenograftのF-BPA経時的集積パターンは、悪性黒色腫では30分程度で集積がピークに達し、それが維持されるのに対し、膠芽腫では30分程度で見られるピークは急速に減弱する。またピーク値は悪性黒色腫で有意に高いことが示された。また、さらに400mg/kgのBPAをマウスの腹腔内投与と静脈内投与を行いホウ素の血中経時的変化を観察すると腹腔内投与で最大値の出現が遅れるもののその継続時間は遷延することが示された。腹腔内BPA投与時の正常臓器ホウ素濃度は1時間後のサクリファイスではF-BPAの1時間でのカウント数と比例関係を示した。また、静脈内投与では約2時間をかけてBPAを投与し、投与終了後1時間でサクリファイスしてホウ素濃度を計測すると、F-BPA1時間値と相関がみられるが、相関係数は低かった。現在BPA持続静脈内点滴と腹腔内投与によるBPA濃度変化を検討し、持続静脈内投与を腹腔内投与で代替え可能かを検討している。もし腹腔内投与で持続静脈内投与と同様なBPA濃度変化が得られるならば、手間のかかる持続静脈内投与を腹腔内投与で代替する予定である。
2: おおむね順調に進展している
ヌードマウスにおけるF-BPA PETは順調に各臓器及び腫瘍の経時的集積変化データを集積できた。また、BPA投与に関しては、非常に手間のかかる持続点滴静脈内注入を腹腔内投与で代替できる可能性もでてきた。また、F-BPA集積(SUV)は、BPA体内濃度と相関関係にあることが示された
持続静脈投与と腹腔内投与のBPAの体内分布を検討する。BPA投与中のF-BPA投与によりどのようにF-BPA PETが変化するかを観察する。今年度中に、F-BPAワンショット、持続投与(静脈内投与または腹腔内投与)、で正常臓器と膠芽腫および悪性黒色腫でBPA濃度との相関係数をもとめる。来年度においては、アミノ酸製剤投与によるFBPA PET集積の変化を観察する
当初BPAの価格がより安価ですみ、さらに使用マウス数が少なかったため
今年度はさらにマウスのnを増加させることによりより安定した値を得る予定である
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件)
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