• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

腫瘍内微小環境と概日リズムの相互作用による放射線抵抗性機構の解明とその克服

研究課題

研究課題/領域番号 26461886
研究機関京都大学

研究代表者

森鳰 章代  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (20722648)

研究分担者 吉村 通央  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40597936)
原田 浩  京都大学, 医学研究科, 准教授 (80362531)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード低酸素 / 概日リズム / HIF-1 / 糖代謝
研究実績の概要

近年、概日周期と低酸素応答の相互作用によって細胞内代謝産物が変化し、これががんの悪性化や治療抵抗性を誘導する可能性が指摘されている。平成26~28年度の3年間に亘る本研究では、細胞の低酸素応答で重要な役割を果たす転写因子(HIF-1)の 活性をリアルタイムに可視化する技術などを用いて、概日リズムと低酸素レスポンスの相互作用ががん細胞の治療抵抗性に及ぼす影響を、細胞・腫瘍組織・動物個体レベルで時間空間的に解析することを目指している。そういった状況の中で平成27年度は、概日周期制御因子PER2とHIF-1が相互作用する機序に迫る分子生物学的研究を実施し、以下の結果を得た。(1)HIF-1依存的にルシフェラーゼ発光を生じるレポーター遺伝子を用いることで、PER2がHIF-1活性を亢進することが明らかになった。(2)HIF-1の主要サブユニットはHIF-1αであるが、HIF-1α promoterからの転写開始速度や、HIF-1α蛋白質の翻訳開始能を各々ルシフェラーゼ活性としてモニターできるレポーター遺伝子を活用することで、PER2が両者に大きな影響を及ぼさないことを明らかにした。(3)クロマチン免疫沈降実験を実施することによって、HIF-1α下流遺伝子のプロモーターに対するHIF-1α蛋白質のリクルートが、PER2によって促進されることを見出した。(4)遺伝子工学的技術を駆使してPER2の系統的欠失変異体を準備することによって、HIF-1活性の亢進を担う活性ドメインを同定することが出来た。 以上の結果をもって、概日周期制御因子PER2がHIF-1を活性化する機序を明らかにすることが出来、当初の予定を完遂することが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「概日リズム制御因子PER2がHIF-1の転写活性化能(trans-activation活性)を亢進する際に重要な活性中心を明らかにすることが出来たため、当初の計画通りに順調に研究が進展していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

共免疫沈降法やルシフェラーゼアッセイの他、ウェスタンブロッティングなどの実験法を組み合わせて、概日リズム制御因子PER2がHIF-1を活性化するメカニズムをより詳細に解明する。同時に、概日リズム制御機構と細胞の低酸素応答機構のクロストークが担う機能を空き落下にする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University of Oxford(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Oxford
  • [雑誌論文] PLK1 blockade enhances therapeutic effects of radiation by inducing cell cycle arrest at the mitotic phase.2015

    • 著者名/発表者名
      Inoue M, Yoshimura M, Kobayashi M, Morinibu A, Itasaka S, Hiraoka M, *Harada H.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 5 ページ: 15666

    • DOI

      doi: 10.1038/srep15666.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Aberrant IDH3alpha expression promotes malignant tumor growth by inducing HIF-1-mediated metabolic reprogramming and angiogenesis.2015

    • 著者名/発表者名
      Zeng L, Morinibu A, Kobayashi M, Zhu Y, Wang X, Goto Y, Yeom CJ, Zhao T, Hirota K, Shinomiya K, Itasaka S, Yoshimura M, Guo G, Hammond EM, Hiraoka M, *Harada H.
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 34 ページ: 4758-4766

    • DOI

      doi: 10.1038/onc.2014.411.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] UCHL1 provides diagnostic and antimetastatic strategies due to its deubiquitinating effect on ​HIF-1α.2015

    • 著者名/発表者名
      Goto Y, Zeng L, Yeom CJ, Zhu Y, Morinibu A, Shinomiya K, Kobayashi M, Hirota K, Itasaka S, Yoshimura M, Tanimoto K, Torii M, Sowa T, Menju T, Sonobe M, Kakeya H, Toi M, Date H, Hammond EM, Hiraoka M, *Harada H.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 6 ページ: 6153

    • DOI

      doi: 10.1038/ncomms7153.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [備考] 京都大学 放射線生物研究センター 原田研究室ホームページ

    • URL

      http://radiotherapy.kuhp.kyoto-u.ac.jp/biology/index.html

URL: 

公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-02-03  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi