研究課題/領域番号 |
26461889
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木村 智樹 広島大学, 大学病院, 講師 (90379876)
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研究分担者 |
永田 靖 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (10228033)
村上 祐司 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (10403528)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺機能画像 / 放射線肺臓炎 / オーダーメイド治療 |
研究実績の概要 |
肺機能画像を用いた高精度放射線治療(IMAT)の前向き評価を実施(木村、永田) ① 通常照射での臨床的有用性に関する検討:平成26年度に検討した撮像法により得られた肺機能画像を、本臨床研究に登録された肺癌患者に施行した通常照射の放射線治療計画上で融合し、以下の点について前向きに評価を行い、以下の結果を得た。 1)各患者の機能肺体積の比較:COPDの国際ガイドライン(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease; GOLD)の重症度分類と正常肺に対する機能肺の割合との間の相関関係を認めた。2)肺機能的画像の有無による放射線肺臓炎の予測因子の検討:V20(全肺に対して20Gy以上照射された肺体積の割合)、FV20及びMLD(全肺における平均線量)、FMLDを肺機能的画像の有無による通常の3次元放射線治療計画を行い検討した。経過観察によりGrade2,3以上の放射線肺臓炎は、それぞれ正常肺に対する機能肺の割合が低い症例ほどFV20及びFMLDが低値でも発生し、肺機能肺の割合と放射線肺臓炎の発生に相関関係を認めた。この成果はIJROBP誌に発表した。 ② 高精度放射線治療照射(IMAT)での臨床的有用性に関する検討:上記①による検討の結果、FV20及びFMLDと放射線肺臓炎の重症度に関連性を認めたため、IMATでの臨床応用を検討した。現在、本邦では肺癌治療においてIMATを用いた放射線治療は未だ一般的でないことや、機能肺に線量制約をかける方法は実臨床で世界的にも報告がないことから、院内倫理委員会へのプロトコール申請に向けて書類作成中であり、承認を得た上で開始する。 ③国際共同研究:より高精度の肺換気画像によっても①で得られた結果が再現されるかどうかを検証するため、University of California Davisとの共同研究を行うこととなり、当院倫理委員会の承認を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
肺機能画像の検討では、「研究実績の概要」で記載したとおり、肺機能的画像の有無による通常の3次元放射線治療計画の前向き研究の成果を既に論文発表したため。また、高精度放射線治療照射(IMAT)での臨床的有用性に関する検討についても、開始に向けたプロトコールを執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
以下の2点を推進する。 1)肝機能画像を用いた高精度放射線治療(SBRT)による前向き評価に関する成果を論文発表する。 2)肺、肝機能画像を用いた実臨床への応用に向け、院内倫理委員会の承認を経て、症例のリクルートを開始する。 3)より高精度の肺換気画像によっても「研究実績の概要①」で得られた結果が再現されるかどうかを検証するため、University of California Davisとの共同研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に計画していた旅費、物品費が想定より低く抑制可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は実臨床への応用を計画しており、これに伴う消耗品(非再換気型マスク、診断用スパイロメータ ディスポマウスピースなど)にかかる費用が必要となる。また、University of California Davisとの共同研究の計画が年度途中より発生し、これに伴う旅費や通信費が必要となる。
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