研究課題
①強度変調放射線治療で重要な固定精度確保のため、Vac-lockを用いた患者固定およびOBIでの骨照合後にCBCTを用いて患者体位の位置誤差を最小限にするIGRTシステムを開発した。②食道の生理的移動把握のため早期癌患者の病変位置確認目的に留置する金属マーカーの移動量を4DCTにて解析した。結果、生理的移動は特に下部食道で大きいこと、また個人差が大きく一律なマージン設定は困難との結果を得た。この結果から心臓線量低減には息止め照射が必要と考えた。息止め照射における治療間位置誤差解析を上記IGRTシステム下で行い治療間誤差は軽微であるという結果を得た。③治療計画装置Pinnacle3の自動計画ソフトを用い肺野低線量域保持と心臓線量低減を目指すVMAT治療計画スタディを行った。本検討では3DCRT既治療胸部中下部食道癌のCTデータを使用した。予防域PTV1と肉眼病変PTV2、OARは肺、心臓、左心室、心外膜、左胸膜、肝臓、脊髄を描出し、線量制約は左心室の中高線量域低減と肺V5<50%を最重要因子とした。3DCRTとVMATのDVHデータの比較およびVMATでのOAR線量制約の達成度を検討した結果、PTVの線量カバレージは3DCRTと同等で線量集中性は改善、心臓・左心室・心外膜は平均線量、V20-60で有意な低減を示した。肺および左胸膜は高線量域(V50,V60)が有意に低減、肺V5は3DCRT/VMATで46.6±9.6%/45.6±4.7%(p=0.72)と同等でVMAT12例中10例で50%以下、最大でも52.5%と臨床上十分に許容できる範囲であった。自動計画VMATにより心臓線量低減と肺低線量域保持可能な治療計画が作成可能であった。④胸部食道癌へのIGRT、息止め照射併用VMATは有望な手法と考えた。今後、臨床導入を目的に前向き臨床試験を開始予定である。
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Physica Medica
巻: 32 ページ: 557-561
10.1016/j.ejmp.2016.02.007