研究課題/領域番号 |
26461891
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
宇都 義浩 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20304553)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アセチルグルコース修飾放射線増感剤 |
研究実績の概要 |
本申請研究「アセチル化グルコース修飾による制癌剤・分子標的薬剤の放射線増感剤としての創出」は,アセチル化グルコースを放射線による抗腫瘍効果の増強分子として種々の制癌剤や分子標的薬剤に修飾し,腫瘍細胞および腫瘍移植鶏卵モデルを用いて放射線増感剤としての有用性を評価し,臨床利用が可能な放射線増感剤の創出を行うものである.平成26年度の研究実施計画は,「アセチルグルコース修飾放射線増感剤TX-2244の詳細な作用機序の解明」および「アセチル化グルコース修飾制癌剤・分子標的薬剤の分子設計・合成」である.得られた結果として,TX-2244は解糖系の酵素の1つであるピルビン酸脱水素酵素の阻害を介してNAD+からNADHへの還元を抑制し,細胞内NADH量を低下させることが示された.また,新規のアセチル化グルコース修飾5-FU誘導体である化合物3種類の合成に成功した.化合物の細胞への取り込み試験の結果より,化合物1は細胞内に取り込まれた後速やかに化合物2に変換されたことが示唆された.化合物1および2はin vitro抗腫瘍活性を示さず,化合物3は5-FUに比べてやや弱いながらもin vitro抗腫瘍活性を示したことから,アセチル化グルコースが脱離しやすい結合であることが抗腫瘍活性の発現に重要であることが示唆された.さらに放射線増感活性試験の結果より,今回合成したすべての化合物においてEtanidazoleと同程度の放射線増感活性を有する傾向が示された.以上の結果より,本年度の研究実施計画をおおむね満たした結果を得ることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画は,「アセチルグルコース修飾放射線増感剤TX-2244の詳細な作用機序の解明」および「アセチル化グルコース修飾制癌剤・分子標的薬剤の分子設計・合成」であり,研究実績の概要に記載のとおり両目的とも一定の成果を得ていることから,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,平成26年度に合成したアセチル化グルコース修飾5-FU誘導体の薬物動態の解析および放射線増感活性の評価を行う予定である.また,それらの結果を踏まえて新規アセチル化グルコース化合物を分子設計・合成する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の価格変更や変更があり、55,961円が次年度使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
放射線増感活性の評価実験時に使用する採血管や培地、作用機序の解析時に使用する抗体等に使用する予定である。
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