研究課題/領域番号 |
26461892
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
柴田 徹 香川大学, 医学部附属病院, 教授 (40293857)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 強度変調放射線治療 |
研究実績の概要 |
当院において今年初まで放射線治療機器の施設更新が行われた。まずは機器の早期稼働に向け注力し平成26年4月から高精度放射線治療の実施を可能とした。課題内容に直結する強度変調放射線治療(IMRT)については、本年6月より試行期間を経て厚生支局に届出承認され、10月より本格稼働可能となった。今年度中3月末現在までの6か月間ではあるが頭頸部癌13例、前立腺癌24例、合計37例のIMRTを施行した。 始めに研究開始に当り頭頸部癌に対するIMRTの治療計画内容について実験的な検証を行った。VMATの治療計画に関して、回転数ビーム門数の変更による治療計画への影響を検討した。結果として、計算時間は増加するものの、最適化の自由度が拡大するため、線量制約の達成度が向上し、線量分布の改善に繋がることを見出した。頭頸部癌においても通常法より3arcを用いたプランの優位性を確認し、またコリメーターの回転角度などについても検討を加え、更なる治療計画内容の質的向上を得て、当院における頭頸部癌プロトコールを策定した。続いてこれまでの頭頸部癌に対する治療内容の再検証を行った。その過程でIMRTに関する英文著書の分担執筆の依頼を受け、Intensity-Modulated Radiation Therapyの4章Treatment Planning of IMRT for Head and Neck Malignancyを担当した。頭頸部IMRTの治療計画技術、その理論、日本における上咽頭癌に対する多施設共同試験への取り組みを記載し,本年4月に刊行された。また、平成27年1月にIAEA/RCA regional training course: An update on Advanced Technologies in Radiotherapyにおける教育講演の依頼があり研究内容に関連した英語口演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自施設での機器更新、平成26年4月よりのリニアック稼働、6月からのIMRTの試行期間を経て、10月からのIMRTの本格実施を開始した。これらの時期と重なったため、若干、研究の着手が遅れた。IMRT臨床稼働の開始後は、順調に症例数を増やす中で、上述の通り、治療計画内要の技術的検証を行うことが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の達成を推進するべく、さらにIMRT治療計画の標準化に向けて、最適化計算手法、標的設定法の改善に向けた取り組みを加速する。 今後の予定としては、具体的には、まず上咽頭癌の共同試験の品質保証に関わった経験を生かし、プロトコール作成過程での標的やリスク臓器設定、輪郭入力に関する検討結果を盛り込んだcontouringの標準化に資する基礎データの作成に取り組みたい。また、多施設のIMRTの治療技術内容や治療計画内容の比較やそれらから抽出される共通の問題点・ピットフォールを集積し、意見の集約を図れるよう研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
自施設での放射線治療機器の更新時期と重なったため、その早期稼働を目指して注力した。そして、平成26年4月よりのリニアック稼働、6月からのIMRTの試行期間を経て、10月からのIMRTの本格実施を開始可能となった。これらの状況により、若干、研究の着手が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究課題の達成を推進するべく、さらにIMRT治療計画の標準化に向けて、最適化計算手法、標的設定法の改善に向けた取り組みを加速することで、計画的な予算の実行を図りたい。 今後の予定としては、具体的には、まず上咽頭癌の共同試験の品質保証に関わった経験を生かし、プロトコール作成過程での標的やリスク臓器設定、輪郭入力に関する検討結果を盛り込んだcontouringの標準化に資する基礎データの作成に取り組みたい。また、多施設のIMRTの治療技術内容や治療計画内容の比較やそれらから抽出される共通の問題点・ピットフォールを集積し、意見の集約を図れるよう研究を進めたい。
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