研究課題/領域番号 |
26461893
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平川 雅和 九州大学, 大学病院, 准教授 (20380454)
|
研究分担者 |
中村 和正 九州大学, 大学病院, 准教授 (20284507)
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 放射線治療生物学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、食道癌に対する実用可能な放射線化学療法の新規感受性バイオマーカーと治療標的分子の同定することである。食道癌において放射線化学療法は、一つの根治療法であるが、治療成績は満足いくものとは言い難い。治療成績向上のためには、放射線化学療法耐性に関与する遺伝子異常の包括的制御が必要である。遺伝子制御機構において、転写調節因子で、癌組織中で安定した発現を示すmicroRNA (miR)が注目されている。我々は、In vitroにおいて食道癌放射線感受性関連の候補miRと分子機構を明らかにしつつある。本研究では、①放射線耐性および感受性食道癌株化細胞を用いて、In vivoにおける放射線感受性関連候補miRのPathwayとその分子機構を明らかにすること、②更に当院食道癌症例原発巣における放射線感受性関連候補miRに関する統合解析を行うことである。代表者は、「食道癌放射線治療成績向上のための放射線感受性制御micro RNAと遺伝子の解明(基盤C課題番号23591843,平成23-25年)」の助成をいただき、食道癌細胞株にマイクロアレイを実施し、放射線感受性を制御する候補miR hsa-miR-203aを同定した。現在、食道癌細胞株TE1(放射線耐性群)とTE9(放射線感受性群)でのmiR-203a発現検定を施行した。結果は、TE1 (放射線抵抗株)では、miR-203a 低発現、TE9(放射線感受性株)では、miR-203a 高発現を確認した。次に、①TE1にmiR-203aを強制発現させ、放射線抵抗性 → 感受性になるか検討中するため、コロニー形成法で、放射線感受性を評価中である。同時に、②TE9のmiR-203a発現を阻害すると、放射線感受性 → 抵抗性になるか検討中で、TE9細胞株に、mirVana miR-203a inhibitor(Applied Biosystems社)とLipofectamine RNAiMAX (Invitrogen Life Technologies)を用いてTransefectionを実施しましたが、miR-203a発現低下TE9細胞株を樹立できていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究について、食道癌細胞株(TE1 vs. TE9)のmicroRNAアレイの結果では、TE1 (放射線抵抗株):miR-203a 低発現、TE9 (放射線感受性株):miR-203a 高発現であったが、2014年12月、当院で放射線科・外科凍結保存されていたTE1、TE9を用いて、細胞株のmiR-203a発現をPCR(TaqMan MicroRNA miR-203a-specific primers: Applied Biosystems社 ,発現値はU6発現で標準化)で調べたところ、TE1>TE9でした。これはマイクロアレイの結果と逆であり、この凍結保存された細胞株を実験で用いると問題ありと判断しました。細胞継代や凍結保存により、細胞の性質に変化を生じた可能性がある。近年、論文投稿規定で「購入6ヶ月以内の細胞株を実験に用いること」や、「細胞株の購入証明を提出」等、細胞株に対する規制も厳しくなっているため、2015年1月に理研より新たに細胞株を購入し、細胞を増殖させ3月より実験を再開しました。新規購入の細胞株では、miR-203の発現は、TE9 > TE 1であり(TE9が4倍程度高い)、アレイの結果と同様であった。これにより、実験は全体に、計画より遅延しているが、実験を再開している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究について、細胞継代や凍結保存により、細胞の性質に変化を生じた可能性により、実験が予定より遅延しているが、2015年1月に理研より新たに細胞株を購入し、細胞を増殖させ3月より実験を再開し、新規購入の細胞株では、miR-203の発現は、TE9 > TE 1であり(TE9が4倍程度高い)、アレイの結果と同様であり、再度実験を、計画に沿って進めている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、細胞継代や凍結保存により、細胞の性質に変化を生じた可能性により、実験が予定より遅延しており、予定していた実験が、本年度施行できていないため、補助金の使用が予定とおり使用できていない。
|
次年度使用額の使用計画 |
本研究は、細胞継代や凍結保存により、細胞の性質に変化を生じた可能性により、実験が予定より遅延しているが、2015年1月に理研より新たに細胞株を購入し、細胞を増殖させ3月より実験を再開し、新規購入の細胞株では、miR-203の発現は、TE9 > TE 1であり(TE9が4倍程度高い)、アレイの結果と同様であり、再度実験を、計画に沿って進めている。
|