研究実績の概要 |
本研究の目的は食道癌に対する実用可能な放射線化学療法の新規感受性バイオマーカーと治療標的分子の同定することである。代表者は「食道癌放射線治療成績向上のための放射線感受性制御microRNAと遺伝子の解明(基盤C課題番号23591843)」の助成をいただき放射線感受性を制御する候補miR hsa-miR203aを同定した。本研究では放射線耐性および感受性食道癌株化細胞で放射線感受性関連候補miRのPathwayと分子機構を明らかにすることである。 放射線抵抗株TE1ではmiR-203a低発現、放射線感受性株TE9ではmiR-203a高発現を確認した。放射線抵抗株TE1でmiR-203aを強制発現させ、放射線感受性の有意な向上が確認され、miR-203a強制発現放射線感受性株TE9で感受性向上傾向を認めた。結果は2017 American Society for Radiation Oncology annual meetingにおいて「Downregulation of microRNA-203 associates with radioresistance in esophageal squamous cell carcinoma cells」を発表した。 平成29年度の追加実験としてTE1,9細胞株以外のTE4,5,11において、miR-203aの標的遺伝子であるLASP1の発現の変化をRT-PCRで確認し、miR203による発現量の低下傾向を認めた。他のmiR-203aのターゲット遺伝子候補であるBMl1でRT-PCRを施行するも、いずれの食道癌細胞株でもmiR203による発現低下が確認できなかった。放射線感受性関連miR-203aのpathwayは明らかになりつつあるものと考えられ、食道癌に対する放射線治療成績向上の新たな治療標的分子候補を明らかにしつつあると考えている。
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