研究課題/領域番号 |
26461894
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉武 忠正 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40452750)
|
研究分担者 |
佐々木 智成 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10380437)
中村 和正 九州大学, 大学病院, 准教授 (20284507)
有村 秀孝 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20287353)
寺嶋 広太郎 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (40627676) [辞退]
本田 浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90145433)
大賀 才路 九州大学, 大学病院, 助教 (90380427)
松本 圭司 九州大学, 大学病院, その他 (40467907)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 放射線治療 / 体幹部定位放射線治療 / 肺癌 |
研究実績の概要 |
放射線治療患者数の増加に伴い、放射線治療医の不足、地域や医療施設間での質のバラつきが、重大な問題となってきている。放射線治療業務の中で、医師の経験と時間を必要とし、かつ重要な部分に放射線治療計画があるが、放射線治療医の経験と技量のみに委ねられており、治療医の経験によるばらつきが生じ、さらには治療計画に膨大な時間を要し、過重労働の原因ともなっている。また、指導医のいる施設で直接的な教育を長期間受けないと独り立ちできないことも、放射線治療医不足の原因ともなっている。 これらの問題点を解決する方法として、短時間に高品質の放射線治療計画を立案するためのサポート、若手放射線治療医の効率的な教育が必要と考えられる。本研究では、放射線治療の均てん化と安全管理を目的として、過去の近似した症例を自動的に抽出し、新規治療計画に応用するシステムの構築を企画した。 まずはI期肺がんを対象として、「病変認識システム」を開発した。治療計画用CT画像において、肺腫瘍の大まかな位置を指示すると、病変および肺野領域を抽出し、病変の特徴量として「病変部の位置情報」、「病変部から危険臓器への距離情報」を算出し、「治療計画症例データベース」を構築可能とした。次に、病変の肺野における位置、危険臓器(脊髄、食道、大血管など)との位置関係、病変サイズなどの情報を利用し、対象病変と近似した症例を過去症例データベースから複数検索し、その治療計画データが参照できるような、「近似症例検索エンジン」を開発した。 また、これと平行して、臨床的にI期肺癌と診断された患者の定位放射線治療の成績について論文化した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、「病変認識システム」、「近似症例検索エンジン」の開発を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
開発した「病変認識システム」で算出された様々な特徴量での検索の対象として、過去の「治療計画症例データベース」を構築する。また、治療計画情報に加えて、治療後の経過情報もデータベース化し、次回治療方法選択の際の情報の一つとする。 構築したデータベースを用いた「近似症例検索エンジン」による、近似症例検索の有効性について評価を行う。 この膨大な数の「治療計画症例データベース」から「近似症例検索エンジン」により、目的とする「新規治療対象」と近似した過去症例を抽出し、過去症例の照射情報(線量、照射角度、門数など)を、新規の該当治療患者の治療計画にインポートして、編集する機能など、参考症例の治療計画情報を、新規患者の治療計画に利活用する仕組みを開発し、治療計画の作成業務全体をサポートすることを目的としたシステムへの展開を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
得られた結果の学会発表が間に合わなかったため、次年度に旅費の繰越が生じた。また、人件費・謝金に関しても、データ入力などが次年度に延期になったため、繰越となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は、国内、海外の学会発表を予定しており、旅費の使用を計画している。また、必要ソフトウェアの購入、データ入力による人件費を予定している。
|