研究課題
1.[14C-carbonyl] FAMTの合成 腫瘍特異的に発現する中性アミノ酸トランスポーター(LAT1)を評価するために、フルオロ-α-メチルチロシン(FAMT)の炭素-14標識体の合成を検討し、既知である [14C-carbonyl]チロシンの合成と同様にブヘラ・ベルクス反応を用い、小規模で、カルボニル基の炭素を炭素-14に置換した[14C-carbonyl] L-FAMT合成に成功した。品質については、下記純度のものを得ることができた。化学純度95.7%、放射化学的純度97.8%、光学異性体純度99.0%ee。詳細については第54回日本核医学会学術総会(大阪)にて発表を行った。2.[14C-carbonyl] L-FAMTを用いたLAT1評価 合成した[14C-carbonyl] L-FAMTを用いて、LAT1と正常組織型であるLAT2と比較したところ、[14C-carbonyl] L-FAMT はLAT2にはほとんど取り込まず、LAT1特異的な基質であることが確認された。その性質を利用して、[18F]FAMT-PETで確認された腎集積の分子機序を[14C-carbonyl] L-FAMT用いて解明に寄与した。この件に関しては第88回日本薬理学会年会(名古屋)にて報告した。[14C-carbonyl] L-FAMTの評価により、LAT1による集積解析にFAMTの重要性が増した。中性子捕捉療法(BNCT)については共同研究者である大阪大学金井から、LAT1の重要性について第11回日本中性子捕捉療法学会学術大会(大阪)にて報告をし、情報発信も行った。
2: おおむね順調に進展している
FAMTはチロシンを母骨格とした非天然α-アミノ酸である。そのため、今回の炭素―14標識に用いるは原料としてのフルオロフェニルアセトン誘導体を入手することはできなかった。チロシンの合成の過程にて、参考になる合成方法の報告があり、原料の合成も速やかに終了した。その誘導体を用いて、コールド標識(非放射能体標識)を実施し、合成方法や手技の確認をした。ホット標識も計画通りの結果を得ることができた。[14C-carbonyl] L-FAMTを用いたLAT1評価に関しては、予想以上にLAT1に対して特異性が高く、薬理的有用性が増大した。そのニーズに応えるため、市販されていないFAMTの製造と言う、予想外の業務が増えてしまったが、第55回日本核医学会総会(大阪)及び第11回日本中性子捕捉療法学会学術大会(大阪)にて、情報発信はすることができた。
次世代BNCT用薬剤の開発 BPAを母骨格とした新規の薬剤についても検討を始める。ただBNCTでは水溶性の薬剤が要求されるため、水溶性化も図っていく。同時に作用機序についても考慮していく予定にしている。まずは非放射体標識薬剤を作製していく。[14C-carbonyl] L-FAMTを用いたLAT1評価 [14C-carbonyl] L-FAMTはまだ、小規模での合成しか行われていないため、原料の大量合成を図る。標識については、放射性核種を取り扱える施設の許可数量の関係で、大量に合成することはできないので、前年度、確立した方法を提示して、外部への委託合成を行う。今回、FAMTの特異性が予想以上に良かったため、トランスポーターの種類を増やし、総括的な検討が必要となってきた。[14C-carbonyl] L-FAMTは合成に時間がかかるため、当面は非放射体標識FAMTで対応することとし、大量合成を行う。
前年度、計画していた研究の一部が達成できないため、使用額の相違が発生している。
研究は概ね順調に遂行できており、次年度速やかに使用する計画にしている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
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巻: 0 ページ: -
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