研究課題
粒子線の生物効果を、粒子線トラック構造の観点から評価し、生物学的可視化を通じて粒子線特異的な生物応答の機構解明を狙う。ヒト正常細胞をG0/G1に同調し、DNA二本鎖切断部位を反映しているH2AXのリン酸化領域を測定し、DNA二本鎖切断の粒子線トラックの広がりを調べた。 粒子線は、核破砕による二次粒子の混入を避けるため、(独)日本原子力研究開発機構にあるイオン照射研究施設(TIARA)から供給される低エネルギー炭素イオンビーム(18.3 MeV/n:~200 keV/µm)を用いて照射実験を行った。 線量は1細胞あたりに1粒子がヒットするように調整すた(1 Gy)。 照射後30分と24時間にサンプルを固定しH2AXのリン酸化領域を観察した。 さらに照射1時間前に1MのDMSOで細胞を処理し、炭素線誘発OHラジカルの効果を抑制した状況で、H2AXのリン酸化領域を観察した。現在データは解析中である。
3: やや遅れている
実験マシンタイムが1度しかなかったため、再現実験を行うことができなかった。しかし、実験条件等は固定され、次年度からはマシンタイムが配分されれば、予定していた実験は十分に行える状況になった。
平成27年度はマシンタイムを十分確保し、炭素以外のネオンイオンなどの他の粒子種を使用し、H2AXのリン酸化を用いたトラック構造の可視化を修復時間、OHラジカル寄与に加えた粒子種依存性についてもデータを取得していく予定である。
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医学物理(Japanese Journal of Medical Physics)
巻: 34 ページ: 65-69