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2015 年度 実施状況報告書

肝癌の治療標的探索を目的とした線維化関連間質細胞の基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 26461909
研究機関京都大学

研究代表者

祝迫 惠子  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70625300)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード線維化
研究実績の概要

肝癌では、さまざまな線維化が共存し、肝癌の進展をサポートしていると考えられている。しかし、線維性変化が肝癌の進展および治療抵抗性にどのように関わっているのかについて、不明な点が多い。本研究は、線維化を形成する間質細胞や免疫細胞を治療標的と位置付けて、これらの細胞と癌細胞がどのような細胞間相互作用をして癌の進展に関わっているのかを明らかにし、新たな治療法を開発する分子基盤を構築しようとするものである。
これまで、癌・非癌部組織の間質細胞や免疫細胞を、組織学的/顕微鏡的に識別してレーザーマイクロダイセクションによって癌細胞からアイソレートして回収し解析を行ってきた。しかし、組織の顕微鏡的識別では、やはり癌細胞の混入が避けられないことがわかってきた。そこで、本年度は、癌組織から間質細胞と免疫細胞をシングルセルに分散して遺伝子発現解析やフローサイトメトリーを試みた。顕微鏡的には、胆管細胞癌に比較して腫瘍間質細胞がほとんどないように見えた肝細胞癌組織にも間質細胞は存在し免疫細胞が浸潤していることが確認できた。分離した免疫細胞のフローサイトメトリーにより、CD4またはCD8陽性のT細胞を確認することができた。間質細胞については、シングルセルRT-PCRを行っているが、 Pre-Amplificationのステップで適切なプライマーの組み合わせを選択する必要があり、検討を行っている。免疫細胞の解析は、表面マーカーを指標にフローサイトメトリーを行うのが一般的であるが、各細胞系列に特異的に発現する転写因子を指標とした場合、このシングルセルRT-PCRは有用な手段であると考え、免疫細胞においても解析を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度、癌細胞と間質細胞や免疫細胞の顕微鏡的識別が困難な場合が症例があり、課題であったが、シングルセル解析を導入することで解決を図っている。癌に浸潤した免疫細胞の分離と解析についてもプロトコールを作成してすすめている。

今後の研究の推進方策

最近、原発性肝癌の網羅的ゲノム解析により、1つの腫瘍あたり平均で約10,000カ所もの変異があると報告された。肝癌細胞の性質はかなり多様であり、治療標的となりうる共通性の高い遺伝子や分子の異常を見出すことが困難であると推測され、肝癌組織の不均一性(heterogeneity)に対抗できる治療法として、間質細胞や免疫細胞を治療標的とした治療法は妥当であると考えられる。今後、私たちは癌免疫の観点から免疫細胞の詳細なポピュレーション解析を行っていこうと考えている。また、癌細胞との細胞間相互作用だけでなく、間質細胞と免疫細胞間の関係についても検討し、新たな治療標的を見出したいと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)

  • [雑誌論文] Hepatic stellate cells relay inflammation signaling from sinusoids to parenchyma in mouse models of immune-mediated hepatitis.2016

    • 著者名/発表者名
      Fujita T, Soontrapa K, Ito Y, Iwaisako K, Moniaga CS, Asagiri M, Majima M, Narumiya S
    • 雑誌名

      Hepatology

      巻: 63 ページ: 1325-1339

    • DOI

      10.1002/hep.28112.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Controversies over the Epithelial-to-Mesenchymal Transition in Liver Fibrosis.2016

    • 著者名/発表者名
      Taura K, Iwaisako K, Hatano E, Uemoto S.
    • 雑誌名

      J Clin Med.

      巻: 5 ページ: E9

    • DOI

      10.3390/jcm5010009.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Migration of splenic lymphocytes promotes liver fibrosis through modification of T helper cytokine balance in mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Tanabe K, Taura K, Koyama Y, Yamamoto G, Nishio T, Okuda Y, Nakamura K, Toriguchi K, Takemoto K, Yamanaka K, Iwaisako K, Seo S, Asagiri M, Hatano E, Uemoto S.
    • 雑誌名

      J Gastroenterol.

      巻: 50 ページ: 1054-1068

    • DOI

      10.1007/s00535-015-1054-3.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of Liver Fibrosis Using Texture Analysis on Combined-Contrast-Enhanced Magnetic Resonance Images at 3.0T.2015

    • 著者名/発表者名
      Yokoo T, Wolfson T, Iwaisako K, Peterson MR, Mani H, Goodman Z, Changchien C, Middleton MS, Gamst AC, Mazhar SM, Kono Y, Ho SB, Sirlin CB.
    • 雑誌名

      Biomed Res Int.

      巻: 5 ページ: 387653

    • DOI

      10.1155/2015/387653.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comprehensive analysis of transcriptome and metabolome analysis in Intrahepatic Cholangiocarcinoma and Hepatocellular Carcinoma.2015

    • 著者名/発表者名
      Murakami Y, Kubo S, Tamori A, Itami S, Kawamura E, Iwaisako K, Ikeda K, Kawada N, Ochiya T, Taguchi YH.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 5 ページ: 16294

    • DOI

      10.1038/srep16294.

    • 査読あり

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公開日: 2017-01-06  

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