研究課題/領域番号 |
26461916
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
江口 晋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80404218)
|
研究分担者 |
山之内 孝彰 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (10448508)
堺 裕輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (10608904)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 急性肝不全 / 肝細胞 / 細胞シート / 再生医療 |
研究実績の概要 |
急性肝不全の治療は急を要し、複雑多岐な肝臓機能をサポートできる技術の確立が望まれている。当科では、肝臓移植に代わる新しい肝再生医療として肝細胞複合シートを開発し、皮下肝組織の構築に取り組んできた。本研究では、急性肝不全の治療を可能にする、迅速な肝細胞複合シート作製技術の確立を目的としている。 平成28年度は、ヒト初代肝細胞の凍結ストックを作製するために、凍結保存の溶媒組成の検討を行った。市販及び調製した14種類の凍結保存培地を利用し、ヒト及びラット初代肝細胞の凍結を試みた。緩慢凍結を行うことができるBICELL、プログラムフリーザー1、プログラムフリーザー2を用い、それぞれの凍結培地を1℃/minで-80度まで凍結させた後、24時間後に液体窒素に浸漬した。 結果として、凍結機器によって初代肝細胞の生存率及び接着性には顕著な違いは見られなかった。プログラムフリーザーを利用して、凍結の際の潜熱を極力抑制するよう試みたが、初代肝細胞に対する効果はほとんどなかった。一方、凍結保存培地としてInVitroFREEZE cryopreservation Medium(Bioreclamation IVT)を用いた場合のみ、比較的優れた生存率を維持した。加えて、DMSOを徐々に添加する手法を採用することで、初代肝細胞に対する傷害が更に抑制されたと考え得る。しかしながら、ヒト初代肝細胞シートを効率的に作製するに足る生存状態を維持するには至らなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、初代肝細胞の凍結保存を試みたが、良好な結果が得られなかった。そのため、肝細胞複合シート皮下移植評価が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
新鮮単離肝細胞、コマーシャルベースの凍結初代肝細胞、HepaRG細胞、iPS細胞由来肝細胞等を利用して、迅速作製肝細胞複合シートを作製する。免疫不全マウスの皮下に移植し、組織形成や機能発現への効果を明らかにする。術後急性肝不全モデルマウスに肝細胞複合シートを皮下移植し、生存への効果を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、急性肝不全治療を可能にする迅速な肝細胞複合シート作製技術を確立するため、ヒト初代肝細胞の凍結に取り組んだ。14種類の市販及び調製した凍結保存培地を検討したものの、良好な結果を得た培地はなかった。そのため、肝細胞複合シート皮下移植評価が遅れ、アッセイに関する消耗品や実験動物を購入しなかったことから未使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
タンパク質発現解析等の消耗品、移植のための実験動物を中心に研究費を使用する。また、成果を国内外に発信するため、旅費等としても一部使用する。
|