平成28年度では新規腎移植症例を含めて約50症例の移植腎生検を施行した。内、1症例でIgA腎症の再発を病理組織診断で新たに確認した。病理組織診断で再発を確認した症例において平成28年度に両側口蓋扁桃摘出術を施行した症例は0症例であった。IgA腎症の再発を疑いつつ腎生検を施行していない症例は3症例を把握している。 現在、移植腎IgA腎症の再発により両側口蓋扁桃摘出術を本人に説明し、施行を考慮している症例は5名である。随時、本人の両側口蓋扁桃摘出術の同意を取れ次第、併せて本研究に対する参加の同意をえた後、本研究の課題を進めていく予定としている。ただし、前年度(平成26年度)において両側口蓋扁桃摘出術後に慢性抗体関連性拒絶の影響と考えられる急激な移植腎機能の悪化により透析再導入となった症例を経験したことから1. 病理組織診断においてIgA腎症再発の所見のみを有する患者を本研究の対象とすべきこと2. 両側口蓋扁桃摘出術による移植腎機能の悪化の可能性を考慮する必要がある(本研究の開始以前は一般的に両側口蓋扁桃摘出術は移植腎機能に悪影響を及ぼすことはないと考えられていた)。 また原疾患がIgA腎症により腎移植術を施行した症例は当院で31例(前年度は28例)を把握しており、引き続き外来でIgA腎症の移植腎における再発の兆候(尿鮮血や尿蛋白の増加)を確認するとともに再発兆候を認める際には移植腎生検を行い、病理組織診断を行う予定としている。 現在、本研究には対象として含めていないものの腎移植前に原疾患のIgA腎症に対して扁桃摘出術を施行した後に腎移植術を施行した症例を現在、3例であり、その移植腎機能の推移をデータとして把握している。
|