研究課題/領域番号 |
26461923
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80364090)
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研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10322372)
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60448785)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 癌免疫療法 / iPS細胞 / 細胞障害性T細胞 / 癌幹細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は、iPS細胞から直接大量に、癌幹細胞特異的抗原を標的とした細胞傷害性T細胞を作製し、さらに効率的で強力な癌幹細胞に対する癌免疫療法を構築し、究極の癌免疫治療を確立することを目的にして開始した。本年度の研究実績は以下の通りである。 1)免疫学的基礎的検討:マウス大腸癌細胞株CT26マウスから骨髄細胞由来樹状細胞(DC)を作製し、誘導したDCにCT26の腫瘍抗原遺伝子gp70発現adenovirus vectorを遠心法 (2000g, 37℃, 2hr)を用いて感染させ、gp70発現細胞 (gp70-DC) を作製し、このDCをマウスに投与することでCT26に対する極めて強いCTL(cytotoxic T lymphocyte)の抗腫瘍免疫反応が誘導されることを確認した。 2)iPS細胞の操作手技の確認:マウスiPS細胞からDC(iPS細胞由来樹状細胞:iPSDC)への分化・誘導および抗腫瘍効果の検討を行った。具体的には、腫瘍抗原遺伝子gp100遺伝子導入iPSDCワクチンによる特異的CTLの誘導と誘導されたCTLの解析を行った。Adenovirus-vectorを用いてgp100遺伝子を導入したiPSDC(iPSDC-AxCAgp100)と骨髄由来樹状細胞:BMDC(BMDC-AxCAgp100)をマウス皮下に投与し、CD8(+)CTLを誘導し、gp100遺伝子を発現しているB16細胞を標的細胞として、コントロール群に比べ、有意に高い細胞障害活性を認めることを確認した。 現在、消化器癌の癌幹細胞を特定するマーカーであるDclk1(Doublecortin-like kinase 1)発現adenovirus vectorの作製を試みているが、vectorの作成、およびその発現確認が遂行できず、実験系を再検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、Adeno-X Expression SystemによるDclk1発現adenovirus vectorの作製を行い、C57BL/6マウスから骨髄細胞由来樹状細胞(DC)にDclk1発現adenovirus vectorを遠心法 (2000g, 37℃, 2hr)を用いて感染させ、Dclk1発現細胞 (Dclk1-DC) を作製する予定であったが、vectorの作成、およびその発現確認が十分でなく、現在、再検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、Dclk1を発現するvectorの改良、遺伝子導入手技の変更を行い、至適な導入効率等も再検討し、Dclk1発現細胞 (Dclk1-DC)を作成することが急務である。同時に、特異的T細胞にセンダイウイルスを用いて山中因子(Oct3/4、Klf4、Sox2、c-Myc)とSV40遺伝子を導入し初期化し、iPS細胞の作製を行い、さらにiPS細胞由来Dclk1特異的CTLの作製を推進する。
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