現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CLP後の脂肪組織におけるマクロファージの分布動向に注目し, PPAR-γアゴニスト(ピオグリタゾン;PGZ)の影響を検討した.C57BL/6雄性マウスにPGZを7日間投与後, CLPを施行し,24時間後に生殖器周辺脂肪を採取した.パラフィン包埋切片にて各マクロファージマーカーの免疫組織化学染色並びに各マーカー発現のリアルタイムRT-PCR解析を行った.CLP+Vehicle群においては, Sham群と比較してM1マクロファージ(CD68とCD11b/c陽性細胞)の増加に加え, TUNEL陽性細胞の増加が観られた.一方, PGZ+CLP群ではこれらの細胞数の増加に加え, M2マクロファージ(CD163陽性細胞)数が上昇したが,CD163陽性細胞はTUNEL陰性であった.PGZ+CLP群では, M1マクロファージが発現するiNOS, M2マクロファージが発現するアルギナーゼ, IL-10の各mRNA量はCLP+VehicleおよびSham群と比べて高値を示した.CLPによるマウス敗血症の脂肪組織においてPGZはマクロファージの分布に影響した.PGZは, 総マクロファージ数を増加させると同時に, M1/M2バランスをM2側へシフトさせることで敗血症による過剰な炎症性生体反応を制御している可能性が示唆された. 以上の結果は,仮説を証明する結果であった.よって順調に進展していると考えている.
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