研究課題
癌性胸腹膜炎の新たな治療を開発するために、胸腹水がん細胞をlysateとして抗原提示細胞である樹状細胞(DC)ワクチンを誘導し、多様ながん抗原を標的とする細胞障害性T細胞(CTL)の誘導を試みた。はじめに、腹膜播種を有するがん患者16例において癌性腹水中のがん細胞を難治性腹水濾過濃縮再静注法(CART)により濾過フィルター内に回収し、FACSを用いてCD45-EpCAM+がん細胞を分離した。すべての症例で2.4x105以上のがん細胞数を回収することができた。これは腫瘍をlysateとしてDCにパルスし、7回分のDCワクチンとして利用可能な量であり、臨床例でのワクチン治療が可能であると判断できた。腹水癌細胞に含まれるがん幹細胞に対してもlysateをパルスしたDCワクチンが有効か明らかにするために、5例の胃癌患者から回収した腹水がん細胞をFACSによりソーティングし、CD44+がん幹細胞とCD44-がん細胞に分離し、それぞれのlysateをパルスしたDCワクチンを作成した。いずれのlysateをパルスした場合でも、十分に成熟したDCを誘導することが可能であった。HLA*A-2402を示した3例の胃癌患者でlysateパルスDCにより、臨床的に有効性が期待できるWT1およびCEAを標的とするCTLの誘導が可能か明らかにするためにテトラマー解析を行った。その結果、いずれのlysateを用いた場合も十分なWT1-CTLならびにCEA-CTLは誘導できなかった。今後はELISPOTなどの検出方法を用いて検討する必要があるものと示唆された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Gastric Cancer
巻: 15 ページ: -
10.1007/s10120-017-0699-4
巻: 17 ページ: -
10.1007/s10120-017-0716-7
10.1007/s00262-016-1872-z
巻: 65 ページ: 1099-1111
10.1007/s00262-014-1554-7