研究実績の概要 |
本研究は、術後5年以降に再発する乳癌(晩期再発乳癌)の生物学的特徴と予測因子を明らかにして、適切な治療法の開発に繋げていくことを目的とする。全国 9施設よりエストロゲンレセプター(ER)陽性 HER2 陰性乳癌の晩期再発症例、早期再発(5年以内の再発)症例、10年以上無再発症例(コントロール)を集積して行う多施設共同研究である。本研究は日本乳癌学会の班研究に採択されたものである。 本研究において、晩期再発症例149例、早期再発症例220例、10年以上無再発症例322例を集積した。臨床病理学的因子の検討項目(初発時の状況)は、年齢、閉経状況、身長、体重、乳癌家族歴、腫瘍径、リンパ節転移個数、術前薬物療法について、乳癌組織における検討(組織学的分類、grade, ER, PgR, HER2, Ki67の発現)、術後薬物療法について、放射線療法について、とした。乳癌組織のER, PgR, HER2, Ki67の発現は、各施設より薄切標本を提出して中央判定を行った。現在、検討項目(臨床病理学的特徴、生物学的特徴および治療法)について、晩期再発症例、早期再発症例、10年以上無再発症例の比較の統計解析を進めている。 さらに、晩期再発症例とコントロール(12例ずつ)においてパラフィン包埋乳癌組織からRNAを抽出し、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。現在、発現に差のある遺伝子について抽出作業を進めている。
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