研究課題/領域番号 |
26461961
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
上田 しのぶ 東京医科大学, 医学部, 助手 (00521874)
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研究分担者 |
須藤 カツ子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (50126091)
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (80251304)
高梨 正勝 東京医科大学, 医学部, 講師 (80312007)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | miRNA / Ago2 / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
microRNA(miRNA)はがんの発生や抑制に関与しており、血中のmiRNAはエクソソーム内に存在することで、RNaseによる分解から逃れている。これまでに、がん特異的に結合するペプチドを発現させたエクソソームの作製に成功し、がん幹細胞の増殖を抑制するmiRNAを内包させ、腫瘍移植マウスの血中に投与すると、がんの増殖を抑制することを明らかにした。しかし、血中のmiRNAはエクソソーム内だけでなく、Argonaute 2 (Ago2) 蛋白質と複合体を作ることで安定的に存在していることが報告された。本研究では、ペプチド修飾型Ago2/miRNA複合体を用いたがん特異的なmiRNAのデリバリー法を開発し、より効果的ながん治療への実用化を目指す。 今年度は、miRNA とAgo2の複合体の精製方法を確立し、Ago2/miRNA複合体が細胞へ取り込まれるかどうかを確認することを目標とした。 最終的には治療に必要な量のAgo2 を精製する必要があるため、Ago2高発現細胞株を作製し精製することとした。一般的にAgo2の精製には抗Ago2抗体が用いられているが、本研究では抗体を外す必要があるため、GSTを用いてAgo2を精製する方法を確立する予定であったが、まずはFLAG/HAタグを持つhAgo2発現ベクター(pIRESneo-FLAG/HA-Ago2corrected,Addgene) を活用して、FLAGで精製を試みることとした。 HEK293細胞にpIRESneo-FLAG/HA-Ago2correctedベクター、コントロールであるpIRESneo-FLAG/HA-EYFPベクターを導入し、ネオマイシンでセレクションすることによって恒常発現株の樹立を行った。コントロールベクターである、EYFPの発現は蛍光顕微鏡下にて確認済みである。現在Ago2の発現を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ago2を恒常的に発現するHEK293細胞の樹立を行った。しかし、Ago2導入細胞はコントロール細胞に比べて細胞の増殖が非常に遅く、また形態も変化してしまっている。そのため発現確認など、Ago2発現細胞を用いた実験に必要な材料を得るのに時間がかかっているため、予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに我々はエクソソームを使ったmiRNAによるがん抑制研究を行ったきたが、この場合、HEK293のエクソソームを用いることで成功しているため、今回の研究においても Ago2を発現させる細胞としてHEK293を用いた。 しかしながら、Ago2 は様々なmiRNA と結合するため、高発現すると細胞の正常なmiRNA 発現調節機構が狂ってしまう。そのために増殖抑制や形態変化が認められたと考えられる。今回樹立したAgo2/HEK293細胞株において、Ago2の発現が認められない、または低い場合は、別な細胞株を用いることで回避できるかどうか、試してみる必要がある。 Ago2発現細胞株が得られた後、miRNAを高発現させるか、あるいは合成したものを導入して、FLAGにてAgo2/miRNA複合体を精製し、がん細胞に取り込まれるかどうか確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
FLAGを用いたAgo2の精製を行う予定であるが、精製用のカラム、ペプチド、抗体などを購入するには予算が足りなかったため次年度分と合わせて使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
FLAGを用いた精製用のカラム、ペプチド、抗体などを購入し、Ago2の精製を行う予定である。
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