研究課題
microRNA(miRNA)はがんの発生や抑制に関与しており、血中のmiRNAはエクソソーム内に存在することで、RNaseによる分解から逃れている。これまでに、がん特異的に結合するペプチドを発現させたエクソソームの作製に成功し、がん幹細胞の増殖を抑制するmiRNAを内包させ、腫瘍移植マウスの血中に投与すると、がんの増殖を抑制することを明らかにした。しかし、血中のmiRNAはエクソソーム内だけでなく、Argonaute 2 (Ago2) 蛋白質と複合体を作ることで安定的に存在していることが報告された。本研究では、ペプチド修飾型Ago2/miRNA複合体を用いたがん特異的なmiRNAのデリバリー法を開発し、より効果的ながん治療への実用化を目指す。当初の計画では、EGFR結合ペプチドであるGE11配列を結合させたAgo2-GE11/miRNAをレンチウイルスを使ってHEK293に感染させ、Ago2-GE11-GST/HEK293細胞を作製することであった。しかし、レンチウイルスを用いてAgo2を高発現させた結果、細胞の形状に変化を与え、以後の実験結果に影響すると考えたため予定を変更し、レンチウイルスは使用しないこととした。しかしながら、プラスミド導入によるAgo2高発現細胞株においても、コントロール細胞と比較して増殖速度が低下した。さらにAgo2/HEK293細胞の培養上清中に遊離しているAgo2複合体を抗Ago2抗体カラムによって精製した結果、細胞外Ago2複合体は非常に低いレベルでしか存在しないことが明らかとなった。一方で、当初治療として用いる予定であったlet-7aよりもはるかに効果的に、がん幹細胞が化学療法や酸化ストレスに抵抗性を示す性質に対して影響を与えることによって、乳がん細胞の増殖を抑制することが示唆されるmiRNAを見出した。
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