研究課題/領域番号 |
26461963
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
三好 康雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50283784)
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研究分担者 |
柳井 亜矢子 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (00529159)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | FDG-PET / 乳癌 / 術前化学療法 |
研究実績の概要 |
1、FDG-PETのSUVmax値の臨床的意義の解明: FDG-PETを施行した乳癌の原発巣308病変を対象に、SUVmax値と乳癌の臨床病理学的因子の相関を検討した。SUVmax値は、ER、HER2で4つのサブタイプに分類すると、luminal A (ER+/HER2-/Ki67<14%)で低く、HER2 タイプで高かった。この結果は、術前化学療法におけるSUVmax値の変化率の意義は、サブタイプによって異なる可能性を示唆する。さらにSUVmax高値群では、低値群に比べて無再発生存期間は有意に不良であった(p=0.031) 2、術前化学療法を行った症例におけるFDG-PETの実施: H26年度にFDG-PETを実施した術前化学療法の症例数は、7例である。このうち手術が終了したのは3例であり、残りの4例は、現在術前化学療法中である。 3、SUVmax値に相関する因子の免疫組織染色による検討: FDG-PETにおけるSUVmax値は、腫瘍細胞内へのグルコースの取り込みを反映していると推定される。グルコースはトランスポーター(腫瘍細胞では主としてGLUT1)によって細胞質内へ取り込まれることから、腫瘍細胞におけるGLUT1の発現は、SUVmax値に影響すると予想される。そこで、術前にFDG-PETを施行して手術を行った症例120例を対象に、GLUT1の発現を免疫組織染色で評価し、SUVmax値との相関を検討する。現在免疫組織染色の条件検討を行っている。GLUT1の発現は、PI3K/AKT/mTOR経路やMAPK経路によって制御されている。そこで、PI3K/AKT/mTOR経路の活性化の指標としてmTORの下流因子のリン酸化S6K(pS6K)、MAPK経路の活性化の指標としてリン酸化ERK(pERK)の発現を免疫組織染色によって検討する。30症例に関して、免疫組織染色が終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、FDG-PETによるSUVmaxの変化率と治療効果との相関を検討すること、シグナル伝達経路の活性化とグルコースの取り込みに関する因子(GULT1)の発現を免疫組織染色によって解析することである。まず、本年度の研究計画のうち、1)SUVmax値の臨床的意義に関しては、目標を達成した。そして、サブタイプによって臨床的意義が異なることが明らかとなり、本研究目的であるSUVmax値の変化と治療効果の検討は、サブタイプに基づいて解析をする必要性が改めて認識された。なお、2)術前化学療法を行った症例におけるFDG-PETの実施状況に関しては、当初30例を目標にしていたが、倫理委員会への承認申請や院内の手続きに時間を要したため、H26年度にFDG-PETを実施した術前化学療法の症例数は、7例であり、目標数を達成できなかった。しかし、来年度には目標症例数を達成できる見込みである。また、3)SUVmax値に相関する因子の免疫組織染色による検討に関しては、pS6K, pMAPKに関しては、免疫組織染色の条件設定は終了し、すでに30例で免疫組織染色を行った。GLUT1に関しては、現在条件検討中であり、近々に終了する予定である。このように免疫組織染色に関しては、ほぼ目的を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で研究方針の変更は必要ない。今後、術前化学療法を行った症例におけるFDG-PETの実施を進めていく。また、乳癌の手術症例を対象に、GLUT1の発現を免疫組織染色にて検討を行っていく。また、術前化学療法を行った症例を対象に、pS6K, pMAPKの発現を免疫組織染色によって評価していく。さらに、術前化学療法症例でPET-CT検査を行い、治療前・後でのSUVmax値を計測する。 次年度では、20例に達した時点で、治療効果とSUVmaxの相関を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は主として、FDG-PET検査に関する費用と、免疫組織染色ならびに消耗品に使用した。計画に基づいて使用したが、消耗品に関して予定より使用頻度が少なかったために、残余が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度へ繰り越した経費に関しては、次年度の消耗品の購入に充てる。
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