研究課題
近年、腫瘍免疫が乳癌の治療効果に深く関わり、抗腫瘍効果に免疫的関与の重要性は再認識された。我々が標準治療抵抗性進行再発乳がん患者を対象として新規ぺプチドワクチンを開発するため、進行転移性乳癌に対するテーラーメイド型ペプチドワクチン(PV)の臨床試験(P-II)を行い、PV投与により抗腫瘍免疫反応が誘導され、臨床的有用性が特にトリプルネガティブ乳癌(TNBC)において示唆され、基礎的組織学検討では、多くのTNにおいてPPV由来腫瘍抗原たんぱくが高率に発現されており、新たな治療ターゲットとなりうることが示唆された。これら研究成果を踏まえ、新たな研究としてトリプルネガティブ乳がんに対し、治療薬としての汎用性にあり、HLA型に関わらず投与可能で、かつ乳がん患者投与前血漿中に7割の症例においてIgG1抗体を認める19種類ペプチドカクテルを開発し(乳がん治療特許申請予定)、19ペプチドの個別の安全性はすでにヒトにおいて検証されており、また種類を一括投与した非臨床試験でも安全性が検証されている。この新しい当該ワクチンカクテルはペプチドワクチン長所(がん抗原エピトープのみ)とテーラーメイド型の長所(2次免疫賦活)及び蛋白ワクチンの長所(HLA非拘束)を有しており、世界最初の開発研究といえる。TN乳がんに特化した臨床試験計画書は当学倫理委員会の承認を受け、2014年度から更に日本学術振興会基盤研究C研究費の支援を受け、フェースII臨床試験を開始し、TN乳がん患者に対し、ペプチドワクチンを投与しており、これまでのところ、有害事象を認めていない。また、本研究の付随研究として治療後の抗体価、免疫細胞(CTL)の誘導状況なども同時解析し、進行中である。
2: おおむね順調に進展している
研究初年度で登録予定トリプルネガティブ乳がん患者数は4例あり、予定患者の三分の一を超えたことや、臨床的評価(臨床反応及び有害事象など)は予定通り行われ、予想外の有害事象、研究に支障を及ぼすような事項は見られていない。市民公開講座などを通じ、本研究に対する理解を深め、対象となる患者からの試験参加を促すことを継続して施行中である。
引き続きトリプルネガティブ乳がん患者に特化した本ペプチドワクチン試験を推進し、臨床的効果などを評価し、有害事象などを注意深く観察する。付随する基礎的解析は抗体価の変化や細胞免疫(CTL)などの誘導状況について登録症例数に合わせ、開始予定である。
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