研究課題
近年、ペプチドワクチンの開発が急速に進展し、新しい治療法として医薬承認される可能性が高い。本学でも乳がんに対し、複数のHLA型に対応するスーパーペプチドを含む19種類ペプチドを含むペプチドカクテルを開発した。IgG1抗体は主にTヘルパー1細胞の指令下に産生され、がん免疫活性化において重要な役割を担う。これにより全乳がん患者でのペプチド特異的な2次免疫賦活効果及びその結果としての臨床効果が期待される。これまでの研究成果に基づき、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に特化したがんワクチンを臨床開発するため、汎用性の高い混合型のPV(KRM-19)の早期第II相臨床試験を計画し、2014年6月より久留米大学倫理審査委員会の承認後に治療抵抗性進行再発TNBC症例に対して、試験実施中である。標準治療抵抗性進行トリプルネガティブ乳癌に対するテーラーメイドがんペプチドワクチン療法の第I/II相臨床試験の実施を進行中で、登録症例10-15例を予定しており、現在、症例数は10例を超え、順調に進行している状況。これまで治療症例において、注射部位における皮膚反応など軽度な有害事象(グレード1-2)を認め、また、グレード3の肝機能障害も少数の症例で認めたが、いずれも対症療法などにより回復した。
2: おおむね順調に進展している
標準治療抵抗性のTNBC患者を対象とする臨床試験は登録患者数も計画通り進んでいる。データ蓄積しており、各種国際、国内学会において結果が報告され、論文投稿準備中である。
まず、臨床試験の症例登録を継続し、完遂することと同時に、臨床的の評価を行う(エンドポイント):① プライマリー・エンドポイント: 安全性(全有害事象)評価:試験中に発生したあらゆる好ましくないすべての事象をCTCAE v4.0 (JCOG版)で評価し、ペプチドワクチンとの因果関係は問わない。② セカンダリー・エンドポイント:・無増悪期間(PFS):評価病変のあるものは画像によるRECIST判定を行う・特異的免疫能の変化の検討:免疫反応性は、血漿中抗ペプチド抗体(IgG)蛍光強度測定ならびに末梢血単核球(PBMCs) のエリスポット法によるCTL反応を測定する。試験プロトコール通り、付随基礎研究は登録患者すべて終了後に予定である。
臨床試験プロトコール通り、臨床試験の症例登録とペプチドワクチンによる臨床投与を先行し、すべて試験登録、治療終了後に基礎的解析(免疫抗体価の測定、CTL誘導など)を行う予定で、それに伴う試験材料費などの出費はまだ施行されておらず、未使用分が発生した。
今年度は臨床試験の最終年度で、試験終了後に基礎的評価として各種実験を行う予定、当研究費の未使用分を用いて、以下の実験を行う予定:①特異抗体反応性解析:LUMNEX法による高感度・迅速ペプチド特異抗体測定系を用いる②HLA拘束性ペプチド特異的細胞傷害性T細胞(CTL)誘導能解析:IFN-gamma遊離法とCr51-遊離法。③リンパ球サブセット:FACSなどを用いての免疫染色法 臨床研究:臨床研究指針をはじめ各種の指導指針や学内規定に従って実施する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 3件) 図書 (2件)
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