研究課題/領域番号 |
26461968
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 直樹 東北大学, 大学病院, 助教 (60547404)
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研究分担者 |
内藤 剛 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50291258)
長尾 宗紀 東北大学, 大学病院, 助教 (60451564)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | NASH / 腸内細菌細菌叢 / 代謝手術 |
研究実績の概要 |
Metabolic surgeryによるNAFLD改善効果を腸内細菌叢から検証するために以下の研究を実施した。なお、研究計画ではマウスを用いる予定であったが、実験動物は、教室で実績のあるラットを用いた実験系に変更している。 1,DJBモデルラットにおける腸内細菌叢の検討:2型糖尿病モデルラットを用いて、metabolic surgeryの本質的な術式といえる十二指腸空腸バイパス術(DJB)における術後の腸内細菌叢の変化を検討した。バイパス手術に際して、食事のみが通過するAlimentary-limb(A-limb)と胆汁膵液のみが流れるBilio-Pancreatic-limb(BP-limb)の長さの異なる群を作成した。細菌叢の検討では、もっとも糖尿病改善効果の高いBP-limbを長く設定した群で他群やコントロール群と異なる細菌叢構成となったことを確認した。肥満形成と関連があると報告されているClostridium属、Turicibacter属の著明な減少と、乳酸や酪酸などの短鎖脂肪酸を産生し、宿主のエネルギー代謝を亢進させる作用を有するBifidobacterium属、Olsenella属の著明な増加が認められ、これらは減量手術後の変化として既報と矛盾しない結果であった。また、肥満者に少なく、非肥満者に多いとされるBacteroides属の減少が認められた。 2,食餌誘発性NASHモデルラットの作成:独自に開発した欧米食を模した飼料(高フルクトース,高脂肪,高コレステロール食 = NASH diet)をSD ラットに投与することによる食餌誘発性NASHモデルラットを作成した。モデルラットでは体重増加、肝重量増加、耐糖能異常、肝逸脱酵素上昇がコントロール群と比較して有意に上昇し、病理学的にNASHと診断しうるモデルを作成し得た。現在、作成したNASHモデルラットに対するmetabolic surgery(DJB)によるNASH改善効果を検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験動物をマウスからラットに変更しているが、特に問題無く順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
metabolic surgery(DJBま)を施行したNASHモデルマウスにおいて、NASH改善効果、腸内細菌叢、血中および糞中胆汁酸組成の変化、糖脂質代謝能やインスリン、GLP-1など各種ホルモン分泌の変化や体組成、肝脂肪量などの変化を検証する。 また、DJBを施行したラットから採取した腸内細菌叢をNASHモデルラットに移植し、腸内細菌変化単独がNASH発症および進行におよぼす影響およびその機序を検証する。
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