研究課題
Metabolic surgeryによるNAFLD改善効果を腸内細菌叢から検証するために以下の実験を実施した。なお、当初の研究計画ではマウスを用いる予定であったが、実験動物は教室で実績のあるラットを用いた実験系に変更している。1,DJBモデルラットにおける腸内細菌叢の検討:2型糖尿病モデルラットであるOLETFラットを用いて、metabolic surgeryの本質的な手術と言える十二指腸空腸バイパス術(DJB)における術後の腸内細菌叢の変化を検討した。術後には短鎖脂肪酸を賛成しホストのエネルギー代謝を亢進するとされるビフィドバクテリウムやオルスネラの著明な増加と、肥満形成と関連があるとされるクロストリジウムの現象を認めた。2,食事誘発性NASHモデルラットの作成:独自に開発した欧米食を模した資料(高フルクトース、高脂肪、高コレステロール食=NASH Diet)をSDラットに投与することによる食事誘発性NASHモデルラットを作成した。このモデルラットでは、炎症性細胞浸潤を伴うNASHと病理学的に診断可能な病態を再現することができた。3,DJBのNASH改善効果の検討:食事誘発性NASHモデルラットにDJBを施行したところ、NASHの改善を認めた。DJB群では、炎症反応のパラメータの改善を認め、門脈血中の胆汁酸の増加を認めた。NASH改善効果は、DJBによる胆汁酸再吸収に起因する抗炎症作用による可能性が示唆される結果であった。以上の結果から、食餌誘発性NASHモデルラットに対するDJBの改善効果を認め、その効果の主体が抗炎症作用であることを明らかにした。抗炎症作用については胆汁酸の関与を念頭に検証を加えたが、確証をえるまでに至っていない。また、腸内細菌叢については、DJBによりコントロール群に比して細菌構成に大きな変化を認めたが、NASH改善効果との相関については検討するに至っていない。
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Surgery
巻: 159 ページ: 1360-71
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外科と代謝・栄養
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