研究課題/領域番号 |
26461970
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
石川 卓 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (70586940)
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研究分担者 |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
羽入 隆晃 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50719705)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (90401736)
小山 諭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10323966)
亀山 仁史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40626420)
市川 寛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50721875)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 消化管間質腫瘍 |
研究実績の概要 |
消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor:GIST)の悪性度は個体間、腫瘍間で大きな差がある。一般的に用いられる予後予測因子は、腫瘍径、核分裂像の2点であり、これらを組み合わせたNIH分類や、これに原発部位、腫瘍破裂の要素を加えたmodifued NIH分類などを用いて再発高リスク群を推定し、術後補助分子標的治療が行われている。 小腸原発GISTは胃原発GISTと比較して予後不良であるが、少量原発GISTの高悪性度の背景にある分子機構は明らかにされていない。先行研究において、自律的細胞増殖と腫瘍化に関与することが知られているDNPH1遺伝子が小腸原発GISTで特異的に高発現していることに着目した。本研究の目的は「GISTにおけるDNPH1遺伝子発現と腫瘍の悪性度や分子標的治療の感受性との関連を解明し、術後補助化学療法が必要な再発高リスク群の予測に有用な新規バイオマーカーを開発すること」である。 当科における初発GIST症例を検討すると、臨床的には①腫瘍径が大きいこと、②再発高リスク群と判定される症例が多いこと、が小腸GISTの特徴であった。また、再発高リスク群の再発率は実際に高く、これを反映して小腸GISTの再発も多いことが分かったが、病理組織学的因子からは原発巣の違いによる悪性度の違いは明らかではなかった。DNPH1の腫瘍における発言を免疫組織学的に検討したところ、胃原発、小腸原発、そして大腸原発のいずれの腫瘍にもDNPH1の発現がみられた。DNPH1が腫瘍の発育に寄与していることは示唆されたものの、原発臓器の違いによる差異は明らかでなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
消化管間質腫瘍の原発臓器の違いが生物学的な悪性度の違いを生じるメカニズムについて、DNPH1の発現の違いを基に検討した。先行して行われたプロテオーム解析では、DNPH1は胃原発腫瘍より小腸原発腫瘍のほうで蛋白質発現が増加していたが、切除標本を用いた免疫組織学的検討ではその相違は明らかでなかった。抗体の選択や染色強度など、免疫組織学的手法を検討して繰り返したが、大腸原発を含めてほぼ全ての消化管間質腫瘍でDNPH1の高発現を認め、DNPH1が腫瘍の発育に何らかの影響を与えているであろうことは確認できたが、原発臓器による差を見出すことはできなかった。また、年齢などの臨床背景、核分裂像数や再発リスク分類、分子標的治療薬使用との関連性も認めなった。
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今後の研究の推進方策 |
DNPH1発現は腫瘍発育に影響していると推定されるものの、臨床的な悪性度との関連性を見出すことはできなかった。臨床の現場で切除標本のDNPH1発現を検討することが、再発や生命予後の推定や、分子標的治療の効果推定に用いることは困難と思われ、先行研究のプロテオーム解析で指摘されている他の因子について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織学的検討で当初予定していた結果が得られず、細胞株を用いた研究を開始することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
DNPH1での検討は細胞株を用いた検討やバイオマーカーとしての臨床応用が困難と思われ、先行するプロテオーム解析で指摘されている他の因子について、DNPH1同様の免疫組織学的な検討を行う。
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