研究課題
消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor:GIST)の悪性度は個体間、腫瘍間で大きな差がある。一般的に用いられる予後因子は腫瘍径、核分裂像数の2点であり、これらを組み合わせたNIH分類や、原発部位、腫瘍破裂の要素を加えたmodified NIH分類などが用いられている。これらの分類で再発高リスク群とされたグループには、術後補助分子標的治療を行うことが奨励されている。小腸原発GISTは胃原発GISTと比較して予後不良であるが、小腸原発GISTの悪性度の背景にある分子機構は明らかにされていない。先行研究において自律的細胞増殖と腫瘍化に関与することが知られているDNPH遺伝子が、小腸原発GISTで特異的に高発現していることに着目した。本研究の目的は「GISTにおけるDNPH1遺伝子発現と腫瘍の悪性度や分子標的治療の感受性との関連を解明し、術後補助化学療法が必要な再発高リスク群の予測に有用な新規バイオマーカーを開発すること」である。当科における初発GIST症例を検討すると、臨床的には①腫瘍径が大きいこと、②再発高リスク群と判定されることが多いこと、小腸GISTの特徴であった。また、再発高リスク群の再発率は実際に高く、これを反映して小腸GISTの再発も多いことが分かったが、病理組織学的因子からは原発巣の違いによる悪性度の違いは明らかではなかった。DNPH1の発現は胃原発、小腸原発、直腸原発のいずれのGISTにおいても発現が認められ、DNPH1の発現が腫瘍の発育に寄与していることは示唆されたが、原発臓器の違いによる差異を見出すことはできなかった。
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