研究課題
同時性腹膜播種転移を認めた症例の原発巣と同一患者群の同時性腹膜播種巣、および同時性腹膜播種転移を認めなかった症例の原発巣、正常胃粘膜の4群を使用し、total RNAを抽出し、4群間のlong noncoding RNAマイクロアレイを施行した。同時性腹膜播種転移症例の原発組織と、腹膜播種を呈さなかった原発組織、健常粘膜群の遺伝子プロファイルを比較し、数種類の発現亢進群と発現抑制群に関与するlnc RNAを同定した。当院ですでに予後が判明している胃癌切除症例300例のRNA later sample(癌、正常粘膜matched sample)からtotal RNA を使用し、上記でpick up されたlncRNA XおよびYの発現とその臨床病理学的因子や、異時性再発の有無(時期)と再発臓器、予後との相関を解析したXおよびYともに胃癌組織にて正常組織と比較して高い発現を認めた。また、Xは、胃癌手術症例の予後および腹膜播種と強い関連があり、根治術後の腹膜播種とも関連を認めた。また、動物実験にてXに対するsi RNAを導入すると腹膜播種形成が抑制された。今後、腹膜播種巣、原発巣とのプロファイリングを進め、血液および腹水を用いたlnc RNA由来mini RNAを用いた腹膜播種診断マーカーの同定を進め、血液マーカーにおいては、予後および再発状況が判明している術前血清を用いてその有用性について検証していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
胃癌原発巣および転移巣の切除標本を用いた発現プロファイルから、胃癌腹膜播種関連long noncoding RNA遺伝子を複数同定することができた。
初年度に得られた知見の実地臨床への応用を念頭において、発現の更新しているlnc RNAのmini RNAを検索し、胃癌腹膜播種の診断マーカーとしての有用性についても検証する予定である。
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