研究課題
本研究は、胃癌患者およびGIST患者の末梢血を用いて次世代シーケンサーによる腫瘍由来遊離DNA (ctDNA)の検出を行い、早期発見法や再発診断法あるいは抗癌剤の効果判定法などの確立につなげることを目的とする。平成26年度は、当院で診療を行った胃癌患者およびGIST患者を対象に、組織の収集とDNAの抽出を行った。特にGIST患者については、イマチニブ耐性病変を持つ患者5名において、次世代シーケンサーを用いて、腫瘍で同定した変異を血漿から検出することができ、cell-free DNA(cfDNA)中におけるctDNAの比率を算出することができた。平成27年度は、胃癌患者42例においてもGISTで行った方法と同様の方法で、胃癌原発巣に特異的なTP53の変異をcfDNAから検出することができ、cfDNAにおけるctDNAの比率が臨床病期や病勢と相関することを示した。平成28年度は、平成26年度に解析を行ったイマチニブ耐性GIST患者5例において、白血球ゲノムDNAを抽出し、血漿DNAにおける変異解析と同様の手法を用いてシーケンシングを行い、腫瘍に特異的な変異をgermline mutationとして認めないことを確認することを試みた。また、本研究で用いる変異検索法において、健常人では患者の腫瘍に特異的な変異を検出しないことを確認する目的で、健常人から白血球ゲノムDNAを抽出し、これまでと同様の手法を用いてシーケンシングを行い、腫瘍に特異的な変異の割合を検索し、ctDNAの検出感度を求めようと試みた。胃癌患者においては、平成27年度にTP53でctDNAを追跡しえた3例に関して、TP53に加えALKやEGFR、BRAF、KRASなどの48の癌関連遺伝子を一度に検索可能な次世代シーケンサー用のパネルを用いて原発巣の解析を追加し、TP53以外の遺伝子について変異を検索したところ、3例ともに1つ以上の別の遺伝子の変異を同定することができた。
すべて 2016
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Oncology
巻: 90 ページ: 112-117
10.1159/000442948