研究課題/領域番号 |
26461981
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
國崎 真己 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (10533747)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | EZH2 / RUNX3 |
研究実績の概要 |
今研究において遺伝子発現プロファイリング及びmiRNA発現プロファイリングにお ける標的遺伝子の中から候補遺伝子として選択されたEZH2,RUNX3の機能解析を行うと共にバイオマーカーとしての有用性を検討することを目的としている。そこで既に当科で手術にて切除、採取された胃癌患者の凍結標本、FFPE薄切標本から抽出し得られたDNA及び蛋白を用いて臨床検体におけるEZH2,RUNX3の発現解析を行った。また同時に腫瘍における発現及びその局在を現在確認し、臨床病理学的な因子との相関を検討中である(on going) また、ヒストン蛋白のmethyltransferaseであるEZH2が様々な癌の予後に関わることを報告してきた(Cancer Sci 2011;102(7):1298-305)が、EZH2が癌患者の血清中に存在し、その検出が可能であることを確認しており、簡便で検出率の高い測定方法を開発することで有用なバイオマーカーにつなげることが出来ると考え、血清中における測定方法を開発し評価を行う予定でいるが、現在安定した定量が得られておらず、有用な測定方法の開発を引き続き検討中である。 我々がこれまで研究してきたSMYD3がnon-ヒストン蛋白であるMAP3K2のメチル化を介して癌化に関与することが報告された(Nature 2014;Jun 12;510(7504):283-7)。このことからも癌化においてmethyltransferaseが非常に重要な役割を果たしていることが示され、その測定法を開発することは癌の診断、治療に活用できると考えられ、同時にSMYD3との共発現等に関しても現在検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来目的とする食道胃接合部癌が進行癌が多く、手術対象となる症例が当初の予想より少ないため症例蓄積が進んでいない。そのため胃癌症例全体を対象として発現解析を行っている。またバイオマーカーとしての血液検体での測定が安定しておらず、血清を用いるべきか血漿を使用するべきか、また保存をどのように行うか等様々な検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体の保存血清を用いて2ステップサンドイッチ法に基づいた化学発行酵素免疫測定法を用いたEZH2測定方法を考案した。すなわち、①一次反応として抗体結合粒子に結合させた抗EZH2抗体と検体中に含まれるEZH2による免疫複合体が形成されます。 ②続いて反応液除去後、抗体結合粒子の洗浄を行います。(この工程で何度洗うのが適切化も検討します。)③続いて抗EZH2抗体を介して結合した検体中のEZH2とアルカリフォスファターゼ標識抗EZH2抗体による眼根記複合体が形成されます。 ④再び反応液を除去し抗体結合粒子の洗浄を行います。(この工程でも何度洗うのが適切化も検討します。)⑤2次抗体を粒子に加え、結合させます。 ⑥2次抗体をペルオキシダーゼ法にて発色させ、450吸光度計にて測定します。 あらかじめ大腸癌患者血清を陽性コントロールとして、3倍希釈液を15U/mlと設定して直線状にプロットした吸光度からサンプルの抗体価を算出します。胃癌患者においても同様に行い、カットオフ値を設定していく。その後、正常患者サンプルにおいても測定を行い、最終的な基準値を設定する また同時に臨床検体の蓄積及び臨床病理学的検討も多角的に行っていく
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次年度使用額が生じた理由 |
本来計画していた実験に進むことが出来ず、条件検討等に時間を要したため、予定していた物品購入や学会発表の機会がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
ある程度カットオフ値などが設定できたところで、保存試験と凍結融解試験を行う。すなわち、採血した検体を-80℃、4℃、37℃の条件で1週間保存し、24時間ごとの抗体価を測定する。続いて2008年より保存してある血清サンプルを用いて融解後測定しどのような結果が得られるか等を検証予定であり、抗体、細胞、培地等の購入 また得られた結果を学会等を通して発表します
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