研究実績の概要 |
2つの異なるコホートである横浜市立大学附属病院と神奈川県立がんセンターのStage II/III胃癌症例の凍結検体を用いて127遺伝子の発現量を測定し,再現性を有するリスク層別化マーカー候補として同定されたSPARC, INHBA, KIAA1199について,上記と異なるコホートのStage II/III胃癌より作成された約1000症例のtissue microarrayを用いた免疫染色を行い,StageII/III胃癌根治切除後のリスク層別化の可能性を検討したが,上記3つのタンパクでは,単独,組み合わせともに有意にリスク層別することはできなかった。 そこで, リスク層別化タンパク候補の再検索を行う方針とし,統計解析方法を変更し,2つのコホートで再現性のあるリスク層別化マーカーを検索した結果,上記に加えて11遺伝子:ERBB2, CXCR4, VSNL1, MMP11, CCR7, MRP1, CEACAM7, TP53, EZH2, PDGFRB, VCAM1がマーカー候補として同定した。 KIAA1199をターゲットとした低分子抗がん剤の開発では,設計した低分子抗がん剤候補のコンパウンドの抗腫瘍効果について,二つの胃癌細胞株(MKN-45,MKN-74)を用い,MTT assayにてスクリーニングを行った。その結果,抗腫瘍効果を有する低分子抗がん剤候補として12種類のコンパウンドが同定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つの異なるコホートである横浜市立大学附属病院と神奈川県立がんセンターのStage II/III胃癌症例の凍結検体を用いて127遺伝子の発現量を測定し,再現性を有するリスク層別化マーカー候補として同定されたSPARC, INHBA, KIAA1199について,上記と異なるコホートのStage II/III胃癌より作成された約1000症例のtissue microarrayを用いた免疫染色を行い,StageII/III胃癌根治切除後のリスク層別化の可能性を検討した。しかし,上記3つのタンパクでは,単独,組み合わせともに有意にリスク層別することはできなかった。 そこで, リスク層別化タンパク候補の再検索を行う方針とし,統計解析方法を変更し,2つのコホートで再現性のあるリスク層別化マーカーを検索した。その結果,上記に加えて11遺伝子:ERBB2, CXCR4, VSNL1, MMP11, CCR7, MRP1, CEACAM7, TP53, EZH2, PDGFRB, VCAM1がマーカー候補として同定された。これらのマーカー候補について約1000症例のtissue microarrayを用いた免疫染色を行った。現在,Stage II/III胃癌根治切除後のリスクを層別化しうるタンパクの組み合わせについて検討中である。 KIAA1199をターゲットとした低分子抗がん剤の開発では,設計した低分子抗がん剤候補のコンパウンドの抗腫瘍効果について,二つの胃癌細胞株(MKN-45,MKN-74)を用い,MTT assayにてスクリーニングを行った。その結果,抗腫瘍効果を有する低分子抗がん剤候補として12種類のコンパウンドが同定された。現在,胃癌に対する既存の薬剤との組み合わせによる相乗効果について検討中である。
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