ヒト胃癌細胞株(MKN45)を各種低浸透圧環境下に、Oregon greenで蛍光標識されたパクリタキセル(PTX)で処理したところ、低浸透圧レベルに依存して、細胞内PTX濃度が上昇することが確認された。浸透圧の細胞増殖への影響は浮遊状態で特に顕著であり、低浸透圧刺激+PTX群の細胞増殖が最も抑制された。PTXの膜輸送体(OATP1B3、MDR1)の発現を解析したが、浸透圧変化に伴う遺伝子発現変化は認められなかった。ヌードマウス腹膜播種モデルを用い、播種結節へのPTX取り込みを蛍光顕微鏡で解析しところ、浸透圧の低下に伴い、PTXの播種結節への取り込みが、結節辺縁より上昇することが確認できた。
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