研究課題/領域番号 |
26461989
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
市川 大輔 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20347446)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 胃癌 / 腹膜播種 / exosome / microRNA |
研究実績の概要 |
中皮細胞株(Met-5A)ならびに胃癌細胞株(KATOⅢ、MKN45、MKN74)の培養液中から超遠心法でexosomeを分離し、PKHによるラベリングを行った。中皮細胞・胃癌細胞株の培養液中への同exosomeの添加を行い、exosome顆粒の培養細胞株内への取り込みを確認した。続いて、中皮細胞ならびに胃癌細胞株の培養液中へのexosome添加の有無による各種機能解析を行い、その結果について比較検討を行った。中皮細胞と各種胃癌細胞株との接着能の解析においては、各胃癌細胞株由来のexosome添加によって、中皮細胞との接着が亢進されたが、中皮細胞株由来のexosome添加では同接着の亢進は認めなかった。Boyden chamber assay法による癌細胞の遊走・浸潤能の解析においては、胃癌細胞株由来のexosome添加によって浸潤能の亢進を認めたが、中皮細胞株由来のexosome添加では浸潤の亢進は認めなかった。 中皮細胞株へのexosome添加の前後における接着関連分子の変化について、PCR-arrayを用いた解析を行い、幾つかの分子における発現変化を確認しており、今後、更なる機能解析ならびに発現メカニズムについても解析を進める予定である。 一方で、腹水サンプルを用いたexosome解析も試みたが、術中出血等による血球成分由来のexosomeの混入が問題となり、臨床サンプルでの検討は困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中皮細胞株ならびに胃癌細胞株へのexosomeの取り込みが推論通り確認されたため、それに基づくrecipient cellsの機能解析へ進むことができた。実際に幾つかの機能について変化が認められており、予定通りの解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果を基に研究を進める予定である。 遊走・浸潤能関連分子の変化についてPCR-arrayを用いた解析を行い、exosome添加によって胃癌細胞株内(2~3株を予定)で共通に変化する責任分子の同定を試みる。一方で、接着能ならびに遊走・浸潤能解析におけるexosomeの添加前後でのmicroRNA変化について、microRNA microarray解析を行い、関連microRNAの同定を試みる。関連microRNAの探索において、候補microRNAの同定に至らない場合には、exosome内に含有されるmRNAや蛋白についての解析も考慮する予定である。これら同定された分子については、胃癌腹膜播種細胞株における発現を解析し、高発現細胞株を用いてmicroRNA inhibitorによる発現抑制を行う。親株から得られた培養液中のexosomeと、これら発現抑制によって得られたanti-miR-X exosomeとを用いて、前年度と同様の解析を行い、阻害程度の解析から腹膜播種関連microRNAの同定を行う。 一方で、上記によって得られた腹膜播種関連microRNAについて、P(-)CY(-)漿膜浸潤陽性胃癌症例の、漿膜面癌組織内ならびに腹腔内洗浄液中microRNAの測定を行い、これらの結果と術後再発など臨床経過との比較検討を前向きに行い、腹膜播種転移の予測バイオマーカーとしての有用性に関する検討にも着手する予定である。
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