研究課題
われわれは、胃癌における代表的な転移形式であり最も重要な予後因子のひとつであるリンパ行性転移に着目し、リンパ節内での微小環境について検討してきた。腫瘍内への好中球、マクロファージの浸潤とリンパ管新生増強とが関連し、リンパ節内のリンパ管新生は、転移が形成する前から増加し予後との強い相関を認めた。続いて、外科切除を施行した標本のリンパ節から直接リンパ管内皮細胞(LEC)を分離し、その性質と転移の影響について検討した。その結果、転移陽性のリンパ節から分離した“癌関連”LECは、非転移リンパ節から分離したLECと比べて、紡錘型であり、増殖能、遊走能が亢進しておりサイトカイン、ケモカイン、接着分子などの発現が著明に増加していた。さらに、癌細胞の浸潤を容易にするMMP発現の上昇も認めた。この反応は、非転移から分離したLECに癌細胞培養上清を添加することでも生じることから、癌によりLECの性質が変化し胃癌進展に強く関与することが示唆された。次に、われわれは、マクロファージとLECとを共培養しリンパ管管腔形成へ及ぼす影響について検討した。マクロファージと直接的にLECと培養した結果、敷石状のLECが紡錘形に変化し、管腔形成が促進された。さらに癌細胞培養上清を添加することにより管腔形成はさらに促進された。また、LECは癌細胞の影響によりPDL-1を発現しCD4T細胞の機能することがわかった。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
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