研究課題/領域番号 |
26461991
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60448785)
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研究分担者 |
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10322372)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80364090)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人工多能性幹細胞 / 樹状細胞 / 腫瘍抗原遺伝子 / 遺伝子組み換えマウス / アデノウイルスベクター / 細胞障害性Tリンパ球 |
研究実績の概要 |
【研究課題名】ヒト腫瘍抗原遺伝子導入iPS細胞由来樹状細胞を用いた癌ワクチン療法:ヒトTAA遺伝子を恒常的に発現するiPS細胞からDCを分化誘導する (iPS-TAA-DC).iPS-TAA-DCワクチンに伴うTAA特異的CTL誘導能の有無を3 段階に分けて検討する. I. CEA遺伝子発現iPS細胞由来のDCのワクチン効果をCEA transgenic mouseを用いたin vivo皮下腫瘍モデルを用いて検討する. II. 健常人皮膚線維芽細胞からiPS細胞を樹立し,ヒトTAA遺伝子を安定導入し,さらにDCへと分化誘導する.iPS-TAA-DC刺激にて得られたin vitro CTLがTAA特異的な細胞傷害活性を有するか否かを検討する.さらに健常人PBMCから得られたナイーブDCとの比較検討も行う. III. 坦癌患者由来iPS細胞を樹立し,iPS-TAA-DC刺激にて得られるin vitro CTLのTAA特異的な細胞傷害活性の有無を検討する. 平成26年度は上記のうちIのCEA transgenic mouseを用いた皮下腫瘍モデルの検討を終了した.良好な結果を得ており,各種学会発表を行っている.現在論文作成中である.さらにIIの健常人皮膚繊維芽細胞からのiPS細胞の樹立に成功している.現在はヒトiPS細胞からのDCへの分化誘導を行っている.何度かトライしているが,現時点ではナイーブなDCに近い分化誘導には至っているものの,成熟能が弱く,試行錯誤している状況である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度はCEA遺伝子発現iPS細胞由来のDCワクチン効果の検討を中心に行った.すでにマウス研究は概ね終了しており,ほぼ作業仮設通りの結果を得ている.具体的にはマウスiPS-DCへのCEA遺伝子導入に成功し,さらにそのiPS-DCワクチンに伴うCEA特異的なCTL誘導の成功,さらに予想以上のワクチン効果を認めている.マウスパートにあたっては,後は副作用検討のみとなっている.すでに学会などで経過発表も行っており,良好な結果に手応えを得ている.現在論文作成中であり,当初の計画以上に進展しているとした.現在ヒトiPS研究をおこなっており,3人の健常人から採取した皮膚繊維芽細胞からのiPS樹立には成功しているもののその後の樹状細胞への分化誘導にはいくつか問題点がある.まずはこの部分を克服していく必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降の研究予定としては現在行っている健常人皮膚繊維芽細胞由来iPS細胞からの樹状細胞への分化誘導を確立することである.現在このiPS-DCの成熟能に関して,成熟に必要なTLR (Toll like receptor)の発現様式をチェックしており,もし発現様式に問題があるようであれば,皮膚繊維芽細胞ではなくPBMC (末梢血単核球)からのiPS細胞樹立に切り替える予定である.iPS-DCの樹立が確立されたら,速やかにCEA特異的なCTLを誘導し,健常人iPS-DCのCTL誘導能をチェックする.さらにナイーブDCとの比較検討も行う.健常人での検討が概ね終了した時点で担癌患者由来iPS-DCへの分化誘導を開始する.当大学での倫理委員会承諾はすでに得ており,システム上が試験開始できる状況である.まずは候補TAA遺伝子であるCEA メソテリン WT1 PPRPのアデノウイルスベクターを調整する.その後に担癌患者胸腹水からの癌細胞ラインの樹立を行う.準備がととのい次第,10例の予定で担癌患者からのiPS-DCのin vitroでのCTL誘導能をチェックする.
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