研究課題
進行胃癌ではその原発巣、骨髄、末梢血中でhistone mRNAの発現上昇とmiR-760の発現低下がみられることを示したが、乳癌症例および乳癌培養細胞における検討では、化学療法に感受性のある乳癌に比較して化学療法抵抗性乳癌ではmiR 760発現が有意に低下していることが報告されている (Lv J et al, Biomed Pharmacother. 2015)。また、miR760発現は乳癌細胞の増殖と浸潤・遊走能を低下させるとともに乳癌幹細胞数を減少させることが示されている (Han ML, Biomed Pharmacother, 2016)。miR 760発現の低下は消化器癌に限らず、多くの癌腫の悪性度に関連することが考えられ、histone mRNA/ microRNA 760による消化器癌の浸潤・転移の制御機構について検討した。1)癌関連線維芽細胞に代表される非腫瘍性宿主細胞への影響についての検討では、胃癌細胞・線維芽細胞の共培養実験において、浮遊癌細胞 (KATOIII)を線維芽細胞と共培養すると、癌細胞の浮遊性が低下し線維芽細胞上に凝集・接着することを明らかにした。この現象は癌転移を考える上で興味深いが、癌細胞・繊維芽細胞いずれにおいてもhistone mRNA/microRNA発現との関連は見られなかった。2)胃癌以外の他癌腫も含めた検討として食道扁平上皮癌について検討を行った。食道癌症例のRNA seqによる網羅的遺伝子発現解析から、食道癌においても多数のhistone mRNAの発現低下が生じていること、これらのhistone mRNAはmiR 760との結合が予測されることをin silico解析から明らかにした。3)効率的に複数のmicroRNAを抑制する機構の一つとして、histone mRNAの環状RNA (circular RNA)形成が複数のmicroRNAを制御している可能性が示唆された。4)histone mRNA, miR-760が進行癌患者の骨髄中、血液中で変動していることからバイオマーカーとしての可能性を検討中である。血漿サンプルの採取に関しBCT採血管 (Streck社)を用いた効率的な手法を見出した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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